夢小説

□真夏に灼かれる情欲を
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南国の太陽が燦々と輝くその下には白い砂浜、青い海。絶好の海水浴日和でビーチを訪れる者は皆笑顔を見せている。……ただ一人を除いては。


「やっぱムリだよ、ムリムリ!」

「ほらさっさと来いって」


嫌がる△△の腕を引っ張るエダの水着は布面積が小さく、イエローとブラックで成すハーリキンチェック柄。
キワドくて攻める水着を着ているエダに対し、△△が着ているのは日本の小学生から高校生まで幅広く、授業にて着用するいわゆるスクール水着だった。


「やだってばー!なんでこんな目に…」

「お前がポーカーで負けたからだろ」

「だからって高校生じゃあるまいし!」

「お前も納得して始めたじゃん」

「ぐぐ…」


本当は最初からこれを拝むのがエダの目的だった。日本では性的なジャンルの一つとして確立しているらしく、しかもそれは本来の対象である年齢を超えた者が着ると卑猥さが増すということを知り、興味がそそられたのだ。
△△に勝たせて気を大きくさせ、負けたらスクール水着を着るという賭けに乗せた。もちろんエダが本気を出せば△△など赤子の手を捻るようなもので、結果こんな卑猥なファッションでビーチに来ているというわけだった。


「ヘーキヘーキ。みんなスク水文化なんて経験してないから誰も気にしねぇって」

「そういう問題じゃない!」

「△△…?」


別の声に振り返るとロックとレヴィが揃ってこちらを見つめていた。


「わーーーッロック!!わわわ!これはあの、その!」

「なんだその水着。ダッセェなぁ」


レヴィにこき下ろされようが彼女はスク水を知らないのだから大して傷つきはしない。むしろダサいの一言で済ませてくれてありがたい。
一番問題なのはロックに見られたことである。鉢合わせするなんてことはないように祈っていたというのに、神は無慈悲だ。


「おいおいレヴィ。スク水知らねぇの?」

「は?何だよそれ」

「わーッバカエダ!言っちゃダメ!!」

「えーとなんとなく経緯は想像つくけど」


引き気味の笑みを浮かべながら口を開くロックに△△は食い気味に肯定する。


「そうそう!多分あってる!エダの奴に無理矢理!だから全く私の意思じゃない!ていうかやっぱハズいしムリ!着替えてくる!」


脱兎の如く駆け出した△△は前をよく見ていなかったらしく、何者かにぶつかって尻餅をついた。


「きゃっ!…すみませ…」


ぶつけた顔をさすりながら見上げると、そこにいたのはロシアンマフィアの大幹部。


「あら。スクール水着じゃない」

「ミ、ミスバラライカ!」


何故これを知っているのかも気になるが、それよりもその水着姿に驚く。
バラライカがビーチを満喫するとは夢にも思わなかったが、白い水着にパレオを巻いて火傷跡だらけの肌を惜しむことなく晒している。
幾多の傷跡は痛々しかったが、それを意に介さない自信に満ち溢れた姿は逆にセクシーで魅力的だった。


「以前ビデオをチェックしてた中にあったわね。あなたの趣味?」

「ちっ、ちがいます!完全にエダに強要されて!」


勢いよく立ち上がり全否定する。


「ふーん。こんな公共の場でプレイをするなんて褒められないわね」

「うあ、すみません…でもこれだけは否定させて頂きたいんですが、決してプレイなんかじゃなくてただの罰ゲームで今着替えに行くところなので大目にみてください……って、ミスバラライカ?」


△△の頬にバラライカの掌が添えられた。


「チラチラ見すぎよ。そんなに珍しい?」

「あっ、いや、その、すごくお綺麗で、」


見とれちゃいまして、と蚊の鳴くような声で答える。△△は必死に言い訳しつつも、初めて見たバラライカの水着姿に目を奪われていた。
バラライカは妖艶に笑う。


「触れてもいいのよ」

「えっ?」

「その代わり、日本のスクール水着を味わわせてもらえるかしら?」


△△の腰をぐいと引き寄せ吐息がかかりそうな距離で囁く。薄い布たった一枚を介して体が触れ合う。バラライカの豊満なバストが△△の顔のすぐ下に来ていて、目のやり場に困ってしまう。


「えっ、あっ、あの、」


真っ赤になった△△の様子にバラライカはくすりと笑った。


「私なら人の目に触れるこんなところじゃなく、自分だけが見れる場所で楽しむけどね。いつでもうちへいらっしゃい、立てなくなるほど可愛がってあげるから」


そう不敵に笑うと△△を解放し、颯爽とこの場を後にした。
その途端彼女はへなへなとくず折れる。そこにエダが駆け寄ってきた。


「おい。フライフェイスに何言われたんだ」

「その呼び方、彼女の耳に入ったらエダの人生終了するからやめたら」

「いつまでへたり込んでんだよ立てって」


先程のやり取りに満更でもなさそうな様子の△△。むっとして立ち上がるように急かすも、エダの声は右から左へ流れて行っているようだった。


「バラライカさん、やばい…」

「おつむがイカれてるのは誰だって知ってるだろうが」

「そういうことじゃなくて!」


そういう意味でないことはわかっているが素直に「そうですか」なんて答える気にはなれない。
口説かれてぽけーっとしている恋人が腹立たしくないわけではないが、ここは大人の対応、気持ちを抑えつける。というのに。


「ていうか遠巻きに見てたんだ?口説かれてたのに見てるだけだったんだ?」

「バカ、お前気に入られてるしあたしが止めに入れるわけないだろ」

「へえ。意気地なし」


冷ややかな視線で罵られ、つい今しがたの思いはどこへやら、エダは思わず苛立ちを露わにする。


「あ?ちょっと絡まれた程度で腰抜かしやがって。オボコ気取ってんじゃねえよ」

「あれ?嫉妬?立てなくなるほど可愛がってくれるってさ〜。いちいちカッコいいからときめいちゃう」


エダの表情が変わったが、彼女を見向きもせず語る△△は気付きもしない。


「それにバラライカさんだったら私のスク水姿は他の人に見せないって。エダは思考がゲスいよね……いたっ!」


エダはひたすらに神経を逆撫でする言葉を連ねる△△の手首を乱暴に掴んだ。


「なっ、何?痛いってば」


△△の抗議の言葉は完全に無視し、皆が賑やかにしている方向とは反対側に彼女を引っ張っていく。





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