夢小説

□私がどんな女かも知らないで、
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「大尉のこと好きですから」

△△がそう告げたのはウォッカの入ったグラスを口元に寄せた時だった。
思わず動きが止まってしまいそうになったのを上手くカモフラージュして慣れ親しんだ味を喉に流し込む。
執務室のソファに落ちつき、ローテーブルの上で乾杯をしたのは1時間ほど前か。

「冗談ならもっと面白いものにして頂戴」
「冗談なんかじゃないです」

受け流すなど許さないとでも言うかのように澄んだ声が静かな部屋に響いた。

「私は大尉が思うよりずっと大人ですよ。…本当は私がどんな女か知らないでしょう」

露骨に擦り寄るわけでもなく控えめに。けれど射るような瞳でこちらを見つめられて、どうしてか私は言葉が出なかった。
△△はこんな大人びた顔をする子だったろうか。

「昼も夜も大尉のこと考えてばっかりでいい加減苦しいんです」
「……言いたいことはそれだけ?」
「言いたいことなんてありすぎて、後回しで十分です」
「へぇ?」

その瞬間唇を奪われていた。
否、避けることは容易にできた。△△が席を立ちこちらに歩み寄り私の大腿のすぐ横で膝を折るまでのその数秒の間に、何をされるかは想像できていた。
なのに避けなかったのは△△のせいにしたかったからかもしれない。私が道を踏み外すのを。
受けたキスは深いものだった。絡みついてくる舌はアルコールで体が熱くなっているのをまざまざと感じさせて、私は柄にもなく危機感を感じた。

「どうしてですか?」

私がされるがままになっていることに納得がいかないのか、△△は泣きそうな顔で問うた。

「△△?」
「酷いです。ずっとずっと伝えていたのに気付かないふりをして。それに、それとも哀れな私の勘違いでしたか?大尉も私を特別に想ってくれているって思ってたのは」

小さな掌で両腕に縋られて、潤んだ瞳で上目遣いをされて、切実な想いをぶつけられて。
こうなるのを待っていた。こうまでされて抱かないわけにはいかない。そう理由づけられる瞬間を待っていた。

「…しようのない娘だな」

腕を引っ張って抱き留める。
知らぬ間に大人になってしまったのかと思わせられたが、やはりこうして抱き締めると私の胸にすっぽり収まってしまう小娘で。
自分よりいくつも年若いこの子にここまでお膳立てさせた自分の狡さに頭の隅で辟易しつつ、△△の小さな顎を取る。
距離を詰めようとすると、

「その前に教えてください。私のことどう思っているのか」

健気な懇願に対して性急に「好きよ」と答えると唇を奪った。
舌を絡めながら△△の服を脱がしていく。
いざとなれば少しは恥じらうかとも思ったが、強気な発言をしただけあってなかなかに乗り気なのも青々しくて非常によろしい。
ブラウスを両腕から抜きさってソファの下に落とす。スカートは裾をたくし上げてウエスト部分に折り込んだ。
ブラを外して双丘を露わにすると、ここで△△は僅かに息を詰めた。
緊張をほぐす間も与えずに両の頂を摘む。

「…っふ」

口元を隠す手から漏れた声を聞けばもっと聞きたくなって、突起を捏ねたり、引っ張ったり、掌で転がしたり。
続けていると次第に反応が素直になっていって、びくりと身を竦ませる。

「敏感なのね」

一言言うと、△△は恥ずかしくなったのか腕で顔を隠した。

「や…。大尉、電気消してください」
「今更何言ってるの」
「やっぱ恥ずかしいです…」
「恥ずかしい方が気持ちいいでしょう」

腕を取って顔を覗き込むと、△△は途端に真っ赤になった顔を背けた。私の手を振り払って再び顔を隠す。

「可愛いお顔見せなさいな」
「恥ずかし…です」
「ふーん。じゃあ強行突破ね」

私はなんてことないように言ってのけ、△△のショーツを抜き去った。

「あっ…大尉っ」
「もう出来上がってるじゃない、ここ」
「あぁっ」

欲を湛えた秘部に指先を当て、するするとなぞると△△の身体が大きく跳ねた。
愛液はもう後ろの方に垂れる程零れていて、指はすぐに滑りに塗れた。

「さぁ、どこまで我慢できるかしらね」

二本の指を差し入れると、△△のそこはすんなりと飲み込んだ。
ざらざらとする壁を辿りながら、△△のイイトコロを探る。
同時に片方の胸の突起に舌を這わせ、空いた手でもう片方を弄る。

「っふ…、…んぅっ」

一度に三か所責められて、△△は身体を巡る耐え難い快感に身を捩らせていた。

「△△はどこがお気に入りなのかしらね?ここ?それともこっちかしら」
「っあ、……ひあぁっ」

一際声が高くなったところをぐっと押すと今までとははるかに異なる反応を示す。

「ここが気持ちいいの?」
「あっ、あっ、たいいっ、やめ、」

わかっていながらしつこく問い責めると、△△はついに我慢できなくなったようで顔を隠していた腕で私の肩を押し返してきた。

「大尉、そこ、だめ…っ」
「気付いてる?あなた今すっごくイイ顔してるわよ」
「なっ…」

赤く染まった頬、とろとろに溶けている潤んだ瞳、だらしなく開いた口から零れる熱い吐息。
こんないやらしい顔でもっと私を呼ばせたくて堪らなかった。これで秘芯まで責めてやったらどうなるだろうか。
再び顔を隠そうとした腕を取って私の首に回させる。

「掴まっておきなさい。もっとヨくしてあげるから」

返事も聞かずに、さっき見つけた△△の弱点を責めながら秘芯を擦った。

「あぁあっ、大尉、たいいそれ、だめっ」
「ダメ?こんなによがってるのに嘘はいけないわよ」

煽られた嗜虐心のままにニヤリと口元を歪めれば、△△は真っ赤になって指を締めてくる。
悦びを正直に伝えてくる△△がいやらしくて可愛くて、そろそろその先へ連れて行ってやりたい。

「大尉、も、だめです…っ、あ、あぁっ、」
「イっていいわよ。本当はどんな女なのか教えてくれるんでしょう?」
「っあ、あっ、ああぁぁぁあっ!」

イイトコロを押すと同時に秘芯を擦ると、△△は身体をびくびくと震わせ、達した。




――――
――




「こんな情熱的な大尉、知りませんでした」

余韻を落ち着かせていたのか私の膝を枕にしばらく大人しかった△△。
掛けてやった私の軍服から顔の半分だけを出し、上目遣いと赤い頬のコンボで言うのは反則ではなかろうか。

「お好みじゃなかったかしら?」
「い、いえ…!」

恥ずかしさから軍服に潜り込む△△に私はひとひら微笑を浮かべ、吸っていた葉巻を灰皿に押し付ける。

「じゃあ、もっと知らしめてあげましょうか」

少し躊躇った後、細い両腕を伸ばしてくるのが答えと受け取り、華奢な体を抱き寄せた。




互いの想いは同じだと知っていてなお自分を律し続けていたのはきっと、糞の役にも立たない保身だ。心のどこかで、結ばれてしまえば果ての見えない煩悶から解放されると思っていた。
けれど現実はまるで宵闇だ。
何故なら、△△という湖により深く沈み込んでしまったから。
一度抱いてしまえば気が済むのかと思ったこともあるけれど、抱いたからこそ止めどなく溢れてくる独占欲が始末に負えない。
△△への狂おしい愛情でここからではもう、光すら見えない。
ロシアンマフィアの幹部をこうまでさせた女なのだから、これからは四方八方から危機が降りかかってくるだろう。△△を護るためならどんな手段も厭わないし、武力ならいくらでも際限なく行使できる。
けれど私自身は△△無しではいられない程弱くなり果ててしまったのをきっと△△は気付いていない。



あなたこそ、私がどんな女かも知らないで。







Title 私がどんな女かも知らないで、
by 桐@お題bot@memo_kiri

***
16.04.17

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