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□堕涙
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*病み注意
*来神捏造
「それならさ、死んじゃえばいいじゃないか」
恐ろしい事をさらっと言った幼なじみに、名無しさんは思わず目を見張った。
ある日の放課後、屋上にて
「臨、也…?」
「君はシズちゃんが好きなんだろ?でもね、シズちゃんは君の事なんて、なーんとも思ってない。そこら辺にいる奴らと同じ認識…いや、認識なんてされてないかもね」
可哀相に、そう言って深紅の双眼を細める。その視線の先には困惑する名無しさんが映っており、臨也は浮かべた笑みを更に深くした。
「っ分かってる、よ…でも!」
「君は俺にどうすればいいか、と尋ねた。だから俺は答えたんだ。 死んじゃえばいいじゃないか ってね。」
ぞくり、名無しさんの背中を何かが走り抜けた。嫌な汗が流れる。吐く息が小刻みに震える。
「いざ、や…?なんか変、だよ…」
一歩近づいて来た臨也に恐怖を感じ、名無しさんは後ずさる。
ガシャン、
しかし名無しさんの後ろには役目を果たしているのか分からない程に錆びたフェンスがあるだけ。背中をフェンスにぶつけ、金属音が屋上でこだまする。同時に、逃げ道を失った名無しさんの息を呑む声が響いた。
「変?はっ、俺の何が変だって?…ああ、もしかして、」
死ぬのが怖いの?
名無しさんが聞き返す間もなく、臨也の細い指が名無しさんの首に絡みつく。
「…ひ、っ…!」
「死は美しいよ。とても美しい。人間の最期を飾る最期のイベントだからね。残念ながら後からどんどん美化されてしまう事も多い。でも安心しなよ、シズちゃんみたいな単細胞にはそんな人間らしい事は出来ないだろうからさ。」
びっくりする程白い臨也の腕を掴み爪を立て抵抗するも虚しく、その指には力が込められていく一方。きりきりと頭が痛んだ。苦しい。
「…っう…は…」
苦しい苦しい苦しい。なのにどうして、どうして臨也が泣きそうな顔をしているの?しかし口からは空気の塊が漏れるばかり、それが声として発せられる事はない。苦しくて、もどかしい。
「…シズちゃんは君の死を美化したりできない。君はその存在を彼に刻み付ける事ができるんだ。」
おめでとう、
偽りを紡ぎ続けて来た唇を以ってしてもこの5文字だけは言えない。祝う事なんて出来ない。
「死ね、」
それにしても、俺が君を殺(アイ)したのに君が俺を愛さないなんて不公平すぎはしないだろうか。俺を愛さない君なんかいらない。生きている価値がない。でも、
「…最期くらい俺を見なよ」
堕涙
(お願いだから早く死んで)
(つう、愛に餓えた悲しみが頬を伝い、地に吸い込まれていった)
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10.11.16
不器用で可哀相な臨也さんが好き
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