スレイヤーズ長編小説
□執事の秘密〜遊郭シリーズ番外編其の弐
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「……ねえ、ガウリイ?」
「なんだ?」
あたしは前々から気になっていた事を、ガウリイに聞いてみた。
「ゼロスって、なんでガウリイを『ガウリイ様』って呼ぶの?」
アメリアなんかを見ていると、執事は大概、『お嬢様』、ゼルガディスは『若旦那様』で、名前で呼ばれる事は無い。
ガウリイが此処の当主ならば、当然『旦那様』とか呼ばれても良さそうなものなのに、ゼロスはずっと『ガウリイ様』と呼んでいる。
あたしには、まだ結婚していないのもあって、『リナ様』で通していても疑問は持たないけど……
そんなあたしの疑問に、ガウリイは事も無げに言った。
「ああ、ゼロスはオレの父親が幼い頃から仕え始めたんだ」
「…………へ?」
今、なんて言った?
「だから、ゼロスにとっては、オレは『仕えるべきヒトの子供』ではあっても、『仕えるヒト』にはならないんだよ。
呼び方が違うのは、その所為だ」
「ちょ……ちょっと、待って。
ガウリイのお父様が幼い頃からって……」
頭が混乱してきた。
「ゼロスは、ああ見えて結構年食ってんだぞ?」
「ええぇぇぇぇぇっ!?」
そこにゼロスがやってきたので、聞いてみる。
「本当なの?」
「――それは、秘密です♪」
…………あたしの中に、異国に対しての不思議がまた増えた瞬間だった。
Fin.