スレイヤーズ長編小説
□運命って
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1.思いがけない出会い
「はあ……」
あたしは溜息を吐いた。
出たくもないパーティーに出なきゃいけない憂鬱と、パーティーの内容に。
職場の同僚に誘われて、仕方なく来たけれど、やっぱり……
「止めれば良かった。婚活パーティーなんて」
そもそも、結婚する気が無いのに参加するとか、サクラじゃないか。居心地悪いったらありゃしない。
それに。
ちら、とワインを口にしながら、あたしの目の前で静かに火花を散らしている男達を見た。
……こんなのと結婚したくないよなぁ……
でっぷり太った社長とやらと、気障ったらしい実業家とやら。
それを、遠巻きにしながら、ちらちらと此方を見る、開業医。目配せをしているつもりらしいが、誘いに乗る気なんぞ、更々無い。
この三人の所為で、あたしは会場の視線を受ける羽目になった。
「で、アナタは?」
「は?」
いきなり話を振られ、全く聞いていなかったあたしは、間の抜けた声を出した。
「僕と、この人と。
どちらが魅力的だと……ああ、失礼。まだお名前を伺っていませんでしたね」
「え、えと」
愛想笑いをして、なんとか逃げ出す算段を立てようとするが、囲まれるように立とうとしてくる。――近づくな、うざったいっ!
「あ、いたいた」
あたしが軽くキレそうになった時。
こちらへ向かってくる長身の男性を見つけた。
「探したよ、こっちへ」
「……なんですか、アナタは。
この方にアピールしたいなら、平等に……」
長身の男性は、金糸の髪をさらり、と揺らす……首を傾げたのだが、それがなんとも。
会場の女の子たちが、きゃあきゃあ言うほど、魅力的で。
男達は彼の微笑みに黙ってしまった。
すっとあたしの手を取ると、彼は「行こう」とその場から連れ出してくれた。