スレイヤーズ短編集

□異種族間恋愛
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 ――何、この犬。
 公園でばったりと出くわしてからというもの、あたしの後をついて回る邪魔な犬。
 金の毛並みはとても綺麗だけど……でかすぎて、これじゃ懐かれでもしたら、あたしが潰されちゃうわ。

 ――野良猫の足の速さ、なめるんじゃないわよっ!

 一瞬の隙をついて、あたしはそのでっかい犬から身を隠した。
 安全圏まで逃げて、ちら、と振り返るときょろきょろした後、なにか合点がいったような顔をし……
「ふえっ!?」
 なんで、まっすぐこっちに向かってくるのよ!?
 逃げようにも足の長さが違いすぎる。かといって、このままじゃ……
「見つけた」
 嬉しそうに、目をきらきら輝かせてその犬は息を切らし、言った。
 ……犬の嗅覚を甘く見た、あたしのミスだったわ。くそー……
「な、なんだってあたしに付きまとうのよ!?」
「なんでって……そうだなぁ」
 ぽやんとした声で軽く目線を上に上げて考えた後、
「お前さんが好きだから、だな」
と、見事なまでの爆弾を落としてくれやがりました。
「異種族間の恋愛なんて、成功しないわよ!
 それ以前に、あたしはあんたをそんな目で見られないしっ!」
「大丈夫だ、オレが好きなんだから」

 …………言葉が通じねぇぇぇぇぇっ!

「オレはガウリイ。お前さんの名前は?」
「言う必要なし!」
「……じゃあ、道を散歩しながら、お前さんの事が好きだ、って主張し続けても良いか?」
「や、やめてよっ! しかもそれ、聞いてるんじゃなく、確認よね!? する気、まんまんでしょ!!」
「名前は?」
 優しいけど、有無を言わさない強さであたしに迫るガウリイ。
「…………リナ、よ」
 すると、彼は一気に雲が晴れて太陽が顔を覗かせたんじゃないか、と思うくらいの笑顔で、あたしに覆い被さった。
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