スレイヤーズ短編集

□保育園
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   1.リナちゃんとガウリイ先生


「うわあぁぁぁぁん! せんせぇぇぇぇっ!」
 ダッシュで泣きながら逃げていく、男の子。その後ろ姿を見て、
「……ふっ。情けないわね」
 そう朗々と宣ったのは、彼より年下の女の子だった。
「年長のおうまさん組が、年少のひよこさん組の、しかもこんな可憐な女の子に負けるなんて……」
「こぉら、リナ」

 びくっ!

「あ、ああ……ガウリイ?」
 ちょっとジト目で見てくる先生に、えへらっ、と笑って、リナと呼ばれた少女は言った。
「もしかして……怒ってる?」
「怒ってねぇよ、けど最初から見てた」
「だ、だって! 見てたなら知ってるでしょ!?
 あいつ、いきなしあたしに、その、キスしようとしたのよ!?
 拒否権を発動したって、許されるわっ!」
「だからってなぁ……」
 ふかーく、ため息を吐き、
「こてんぱんに罵った上、はり倒さんでも……」

 ……コドモだからって……

 ぷぅっ、と頬を膨らませるリナ。
 そんな心境も知らず、ガウリイはリナの頭をなでなでし、「もうちょっと、手加減してやれよ?」と苦笑した。
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