スレイヤーズ短編集
□ばすたいむ
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「ふいー……外、酷い雨だったな……」
扉を開けるなり、慌ててぱたぱたと服の雨粒を払う仕草をする、彼。
今日は大嵐で、本来ならじっとしている予定だったのだが、大木が倒れ、しかも家が潰れそうになっている、と大騒ぎになり、彼も駆り出されていったのだ。
「お帰り、ガウリイ。
はい、タオル。それと着替えないと」
「ああ」
「お風呂、沸いてるわよ。入ったら?」
「そうだな……っくし!」
くしゃみをする彼に、バスタオルを渡す。
「ほら、風邪引くわよ?」
「んー……」
ガウリイの着替えを取りに行こうと、後ろを向いた時だった。
「うひゃあっ!」
「疲れたー……」
「疲れたのはわかるけど、濡れたままあたしに抱きつくバカがあるかぁぁっ!」
しかし、離れようとしない。ぐったりして、本当にしんどそうだ。
「仕方ないわねー、ほら。上着脱いで。
拭いてあげるから」
「おー……」
テキパキとあたしは頭や身体を拭いていく。雨に濡れた所為で、身体は冷え切っていた。
「バスルームまで行ける?」
「……沈む自信はある」
「ぅおい。危ないわよ」
はふ、と息を吐くと、
「わかったわよ。一緒に行くから」
「一緒に入ってくれるのか?」
…………
「ち、違うわよ! 危険だから、ついていってあげるだけ!」
「なんだー……じゃあ、オレ風呂に沈むぞ」
おどしかいっ!
「リナー……」
ぎゅうっと抱きつくガウリイ。
「ちょ、冷たい、冷たいっ!
わかったからっ! あたしまで風邪ひくでしょ!?」
「ん」