スレイヤーズ短編集

□スカウト
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 街を歩いていた時の事だった。

「ねえ、お兄さん。モデルやってみない?」

 みょーに色っぽい女性がガウリイに声を掛けてきたのは。
「モデル?」
「そう。お兄さん、背も高いしー、髪も綺麗だしー、なにより、美形だし!
 文句ないのよねー」
 褒めちぎる女性。どことなく、ガウリイに擦り寄ってきているのが……気になるが。
「なあ、リナ。モデル、ってなんだ?」
「あー、モデルっていうのはねー?
 うちのばあい、肉体美を主に表現したいところかなー?」
 あたしに口を挟ませず、色気むんむんでねーちゃんは(女性と呼ぶのが嫌になった)ガウリイにますます近づいてきた。
 でかい胸をガウリイの腕に押しつける様に絡めて、「詳しい話は、近くの喫茶店で……」と言った。
「あ、いや……」
「いいじゃない。話くらいー?」
 ちら、とあたしを見るねーちゃん。優越感が滲み出てる所からして、あたしより自分の方が良いだろう、と思っているのがわかる。
 ちょっとむっとして、
「出るなら、出たら。ガウリイ?」
「え、リナ?」
「ガウリイさん、っていうのー?
 素敵ー♪ ねえ、この子もそう言ってるんだしぃー?」
「い、いや、オレは……」
 あたしは段々腹が立ってきた。ねーちゃんにもだが、はっきり断らないガウリイにも。
 モデルの勧誘で、身体の線がはっきり出るミニのワンピースなんぞ、なんで必要なのか。
 ガウリイの身体に密着する必要が何処にあるのか。
 なにより……
「なんで、嫌なら断らないのよ」
「リナ」
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