スレイヤーズ長編小説

□その先へ〜遊郭の恋・続編2
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   1.事件



「――え?」
 ガウリイの言葉に、あたしは聞き返した。
「だから、結婚式。やらないとならんだろ」
 異国の地に来てもうだいぶ経つ。あたしを紹介する為のパーティーは開いたものの、結婚式は開いてなかった。
「え、えーと……それは……」
「嫌なのか?」
「そういうわけじゃ無いけど……」
 恥ずかしいのだ、単純に。
 嬉しいのと同時に、ガウリイと並んで見劣りするんじゃないか、って気もして。
 あたしは日本人だ。顔立ちだって違うだろう。
 そういうと、「そうかぁ?」とガウリイ。
「リナは、どちらかというと、こっちの国に近い顔立ちだぞ? リナの育ての親ってヒトも、姉さんも」
「え。そうなの?」
「ああ」
 そ、そうなのかな……?
「だから、あの場所で余計に目を惹いたんだ。一目で好きになった」
「さらっと恥ずかしい事を言うなっ!」
 この国の風習なのかもしれないが、あたしはまだ照れが先に立つ。ガウリイは、きょとんとして、「なにかおかしいか?」とか言うし……あーもぉ……
「ゼロスに、手配させている。グレイシアもドレス作り、張り切っていたぞ」
「話、進んでるの!?」
「ああ、問題ないだろ?」
「いやまあ……無い、けど……」
 ガウリイは微笑むと、あたしを引き寄せ、接吻をした。そのまま抱き締め、宝物の様にあたしを扱う。
 髪を一房取って、指に絡ませて、そこにも接吻した。
 あたしはガウリイにもたれかかって、されるがままにしていた。
 お勉強の時間が終わって、昼食までの間、仕事が無い時のガウリイは、いつも自室であたしとこうやって過ごす。最近では、みんなわかっているのか、邪魔が入るような事は無くなった。
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