矢部君
□矢部君が担ぐ
1ページ/1ページ
キーンコーンカーンコーン
あー…やっと終わった
やっと…やっと矢部君から解放されるっ!!
そんな解放感に涙を流すのも束の間、今度は妙な浮遊感が私を包んだ。
視界に映るのは白い、シーツみたいな布と汚らしい教室の床。それから誰かの踵。
…え、何コレ。どーゆー状況よコレ。
とりあえず落ちそうになるメガネを必死に抑えながら考える。
そんな私の耳に前の席の男子が小声で放った言葉が…
「…すげっ担いでる」
…担…?
え、ちょ、まさか…
そう、私は今担がれているのです。
え、誰にかって?そんなの決まってんじゃん。あれだよそれだよこれだよ。
…矢部君だよ。
てゆーか…揺れるんだけど。怖いんだけど。
「嫌ーっ!!下ろせっ!!」
「…うるさい」
「パンツ見えるじゃんっ!!」
「長いから大丈夫だろ」
「嫌だ。無理。今すぐ下ろ…してください」
「じゃあ俺がスカート抑えて…「このままでいいですっ」…チッ」
舌打ちしたいのはこっちだからね。うん。
あ、さっきのシーツみたいなのはどうやらYシャツで…ってゆーか階段っ!!
(怖っ!!一段飛ばして登らないでっ!!下ろしてーっ!!)(…お前うるさい)