短い話
□てづくりくっきー
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駅前の、少しお洒落な、だけど入りやすい…そんな喫茶店
(30分前から来るって…俺どんだけ期待してんの)
(てか…来なかったらどうしよ…)
そんな風に思っていたとき、カランカランッという軽快な音と「いらっしゃいませー」という感じの良い店員の声が聞こえた。
「…ぁ、」
「ごめん、待った?」
多分、その時の俺は目を目一杯開けて、もう乾燥なんか全くもって考えになくて、それは、別に笹森が部活のジャージで来たからじゃなくて、(いや、それもかなり残念だけどねっ!!私服めっちゃ見たかったけどなっ!!コノヤロー)まぁとにかくそんな事じゃなくて、俺が驚いてんのは笹森の後ろにいるヤツらで、そこにいるのは勿論俺の知ってるヤツで、てかクラスメイトで。
「お前ら何やってんだよっ!!」
「おう、来てやったぞ」
「来てやったぞ、じゃねーよっ!!」
「わ〜相模くんの私服初めて見たっ!!なんか新鮮だね〜」
「てかなんで村上と佐藤さんの組み合わせなんだよ!!
どーゆーペア!?別にお前ら付き合ってるわけでもねーだろ?」
「笹森さんと同じ部活なんだよ、俺ら」
「なんかさ〜、今日これから相模くんと会うとか言うからさ〜来ちゃった」
「らしいよ」
「笹森やっと喋ったな」
「ちょっと、喋るタイミングが見あたらなくてね」
そう言って微笑む笹森は、いつも一つにまとめている髪を下ろして軽く巻いてあって、いつもと雰囲気が違っていて、なんて言うか、その、…可愛い。(部活のジャージなのが残念だけど。ホント残念だけどっ!!)
「髪の毛、可愛いでしょ〜、だってわたしがやったんだもん」
佐藤さんが自慢気に語る。まぁ、可愛いけど。めっちゃ可愛いけど。
「そんな事よりさ、」
笹森は後ろで「そんな事とはなんだーっ!!」と騒ぐ佐藤さんを無視しながらスポーツバックから何かを取り出した。
「はい、これ」
「…え、」
「なにその反応」
「え、いや、マジでいいの?くれんの、これ」
「そのために作ってきたんでしょーが」
「あ、手作り?」
「だって、絶対手作りにしろって言ったじゃん」
「あ、うん、まぁ、うん。」
「じゃあわたしはこれで」
「はっ、もう行くの!?」
「残念でした〜碧はこれからあたしとショッピングで〜す」
女子2人は「「アイス食べるんだもんねーっ」」なんて言い合って店を出て行く。
「ちょ笹森…」
「行っちゃったな」
「アイスぐらい俺奢るのになー…」
「え、マジ!?奢ってよ」
「お前じゃねーし」
ー…
笹森たちは受験終わってるんかな。だからきっと後輩の様子を見に部活に顔だしたんだよ、きっと。
村上くんと佐藤さんは別に付き合ってるわけじゃないです。てか2人そんなに仲が良いわけでもない。
だから相模くんは驚いてたんですね
ちなみに笹森の名前は碧と書いて「みどり」です
男群→