ぶっく3

□とぅえんてぃふぉーないと
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24歳というのは、もう充分すぎるほど大人だ。所謂結婚適齢期というやつだし、なんとなく焦る気持ちも出てくる。なんせ、わたしには今まで恋人というものがいたことがないのだ。

最近になってやっと、わたしの考え方はどこか世間とずれているのだと気付いた。周りと同じ少女漫画を読み、同じドラマを見て感動していたはずなのに、どうしてこんな差が出来てしまったのだろう。理由は分からないけれど、ただ、わたしが世間一般とは少しずれた考え方をしていることだけは明らかであった。

22歳1月のある日、わたしは恋を自覚した。それまで全くそんな風に見ていなかった同い年の異性で、彼には既に付き合っている女性がいた。

それから23歳になるまでは、なんだか落ち着かない日々が続いた。大抵は嫉妬で、時々ときめきがあった。あんな風に嫉妬したのは、多分初めてだと思う。嫉妬する自分が嫌で何度もこの恋をやめてしまいたいと思った。でもそう思う度に、こんなに好きなのだと嫌でも自覚させられた。

23歳になってから程なくして、周囲の環境が変わった。彼はいつの間にか付き合っていた彼女と別れていて、彼と嫉妬相手との間には確かな距離が出来た。彼に一番近い異性は恐らくわたしとなった。

誰かが仕組んだんじゃないかと思われるほど理想的な環境下に置かれたわたしは、そこまで整えられてもなお、一歩も踏み出せないままだった。

恥ずかしさに顔を背け、笑顔には仏頂面で返した。せめて普通の返事をしたいのにそれすらままならず、いつもぶっきらぼうな答えしか出来なかった。

彼のことが好きだった。本当に、ちゃんと好きだった。好きなのに、好きだからこそ、考えすぎてしまって、上手くいかなかった。

あの時素直になっていたら、きっと、今とは違っていたんだろう。わたしと彼の関係が進んでもこのままでも、今の私みたいに何度も何度も思い返したりするような未練がましいことにはならないのだろう。あの時は正しいと思えた一つ一つが、ただ不器用すぎる自分に少しの苛立ちと、それでも憎みきれないよく分からない気持ちが残る。

好きだから、好きになってもらいたかった。
わたしのことを好きになって、固執してもらいたかった。やきもちを妬いたり、愛しく思ったりしてもらいたかった。きっとそこにはわたしのいらないプライドがいた。

24歳になった今、何か変わるかと思っていたけれど、わたしは未だに彼が好きだった。
彼には新しい年下の努力家で彼のとこが大好きな彼女が出来て、わたしは結婚適齢期になった。

彼から貰った「ごめんね」も「さよなら」も、それだけではなんの意味も持たなかった。本当は終わりにしてもらわなきゃいけないわたしは、今日もまだ、彼に会えない日々にぼんやりとして、彼に会いたくて夢を見ているのだ。






【とぅえんてぃふぉーないと。】
自分が馬鹿だって、分かってるけど。







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