私と彼
□格好いい私と
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いきなり自分で言うのも何だけと、あたしはモテる。
いや、別に自慢してる訳じゃなくて。モテるって言っても男子にじゃなくて女子にだし。
それはやっぱりあたしの男子並みの身長とか顔つきとか運動神経によるものだと思うけど、最近の女の子って結構可愛い子が多いし…そんなに悪い気はしない。(別に、そっちの気があるわけじゃないけど)
そんなあたしは今実は、世間一般で言う「恋する乙女」になっている。
別に乙女ってガラじゃないくせに、胸の奥でモヤモヤしたものがうずくのだ。
「あ、飯島」
…っ!!来たっ!!紹介する前に来ちゃったんだけどっ、
ちょっ、まっ、心の準備がっ
「あ、え、…何?」
「今日って僕等が掃除だったっけ?」
「…っ!!」
く、首を傾げるなっ!!
何コレ何コレっ!!持ち帰りたいっ!!takeoutしてもいいですかコレっ!!
「…っ、しっ、知るか」
「…そっかぁ、なんか、急にごめんね」
そう言って離れていく彼
ぐふぁーっ!!シュンとした顔もいいっ!!なんて、変態化しつつある私の意識をなんとか抑え込もうとしていたとき、同じクラスの梨華がスススッと私の隣にやって来た
「あんたさー…中村君のこと嫌いなの?」
「へ…?」
いたって普通のボリュームで問われたその質問は、あたしとしては予想外のもので(てか普通もうちょっと小声でするでしょ)(聞こえたらどーすんのよ)
そんなあたしの心配をよそに梨華は言葉を続けた
「だってさ、なんか中村君にだけキツくない?」
「え…?」
「…なにその反応。え、自分で気づいてないの?」
「いや…ちょっと待ってよ
あたしそんなつもり全然無いっていうか、なんつーか…あの…逆っつーか…」
「ぎゃくぅ?」
え、なに…その目…あたしなんか変なこと言っ…
「あああああああっ!!
逆っていうのは別にっ…違っ!!」
「へぇ〜そうだったんだぁ」
「…ニヤけ顔やめて」
「だったらホラ、早く行きなさいよ」
「え、ちょ、」
ドンと押された背中
踏み出した足
軽い衝撃
「すいませ…っ!!」
目の前には尻もちをつく中村。
「んー…へーきへーき
それより飯島の方こそ大丈夫だった?怪我とかしてない?」
「…あ…別に…」
梨華に睨みをきかせようと後ろを向くと既にそこには彼女はいなかった
(あんのやろう…)
「飯島っ!!」
突然の中村の声にびくりと反応してから数秒…どうしたの?と聞く前にあたしの腕を掴んで勢いよく立ちあがる中村。あたしもつられて立ち上がる
「え、なに…」
ぐいぐいとひっぱられながら投げかけた疑問の言葉。視線はあたしと彼との接点にくぎ付け(意外と力強いんだ…)(なんか…)
(…男の子ってかんじ)
そんな、半ば失礼なことを思いながらズルズルと引っ張られるあたしにひとこと。
「飯島、怪我してるじゃん。保健室連れてく」
(連れてくっていうか…連行…?)
そんな言葉は呑み込んで、中村を見上げる
その横顔に、恋をした
(…なに?)(あ、いや、なんでもない…です///)
、