私と彼

□運動音痴な私と
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野球部の部長。当然運動神経はいいし、勉強だって結構できる。得意教科は体育と英語と数学。格好良い。

それが私の好きな彼…竹中君。



無趣味の帰宅部。運動神経は悪くて体育は全然だめ。勉強はなんとなく出来るけどぱっとしない真ん中あたり。得意教科を強いて上げるなら国語。地味顔。

それが私。


届かないのも、叶わないのも分かってる。向こうは私の名前を知ってるかどうかも怪しいし…(同じクラス、なんだけどなぁ)

ただ、部活してるときとか、授業中とか休み時間とか、そろーっと眺めるだけで胸がきゅーっとなって、目が合ったりなんかしたらもぅ大変。その日は1日嬉しくて嬉しくて、それだけで楽しい。

好きだなぁ。やっぱり格好いいな。…こっち、向かないかなぁ。話したいなぁ。わ、こっちくる。どうしよう。


どきどきする心臓を軽く抑えながら竹中くんが近付くのをちらりと見る。竹中くんは友達と話をしながら私の机の横を通った。

多分そのとき、私のノートに当たったんだと思う。もともと机からはみ出し気味だったその国語のノートは、ぱさりと中を開きながら床に落ちた。


「わっごめん」


どきっとした。
竹中くんが隣にいて、しかも私に話かけてる。


「…あ、……ありがとう」


竹中くんはノートを拾って私に渡してくれる。どうしよう、私いま、竹中くんと話してるんだ、信じられない。


「井上さんてさ、」

「あ…はい、」

「字上手いね」



にこりと笑ってから竹中くんは友達のところに戻る。


竹中くんが私のノートに触って、しかも話したりもしちゃって、さらに名前を覚えててくれた時点で嬉しすぎるのにまさかまさか誉められるとはっ!!


まだ胸がどきどききゅんきゅんしている。わぁぁぁ。幸せすぎて死んじゃうかも。




(やっぱりやっぱりやっぱり)(竹中くんは格好いいっ)



ー…


竹中そこまでか?そんなにか?(失礼)

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