ぶっく2
□お久しぶりです
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こたつで年末特番を見ながらみかんを食べていた時、チャイムが鳴った。
停止ボタンを押し、はいはーいと玄関に向かう。パーカーにジャージというラフな格好だけど、まぁ大丈夫だろう。
ガチャリと扉をあけるとそこには見知った顔が口元をマフラーにうずめながら穏やかな笑顔で立っていた。
「あらま」
無意識に髪を手ぐしで整えながらどうしたのと声をかける。久しぶりに見た彼は少し背が伸びていて、男らしくなっていて、それでも目元なんかは昔と全然変わらない。
「どうしたのじゃねーよ」
口調こそ怒っているかのようなそれだが、表情は変わらず穏やかで優しい。そんなところも変わらないなと、口にはしないけれど嬉しくて。
「帰ってんなら声かけろよな」
まったく、と言いながら口元を隠していたマフラーを少し引き下げる。
それから昔と変わらない――あの反則技の、もはや兵器なんじゃないかってほどのとびきりの笑顔でお帰り、と言った。
《お久しぶりです》
(もしかして、わざわざ会いに来てくれたの?)(……んー…どうかな…)
ー・・・
みなさまお久しぶりです。
あけましておめでとうございます。