ぶっく2

□サンカクカンケイ
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「すっごい美味しかったよー!!」
 

そういって楽しそうに笑う彼女たちにそっかーと返す。そーいえばパフェの食べ放題が半額になる券があるんだという話題をポロッと出したのが一週間前。それにあざとく反応した彼女たちは「えー!すごーい!いつまで?あ!今週までじゃーん!三名様までだってー!誰と行くの?え?、まだ決まってない?じゃあこの三人で行こうよ!」だなんて、大体そんなような流れを作り出し私と彼女たちで行くという風になった。…なったはいいが、わたしと彼女たちとがいけば彼女たちが盛り上がってわたしは貼り付けた笑顔でふーんとかそうなんだーとかそんなようなことしか言わないのは火を見るより明らかだった。どうしてパフェを食べに行くのにそんな憂鬱なことをしなければいけないのか。迷ったあげくにごめん今週暇な日なかったわなんて適当な嘘を見繕ってその券を彼女たちにあげた結果がこれである。


 美味しかったのはねーといってはしゃぎながらケータイで撮ってきたパフェの写真を次々と見せて説明していく。若干写り込んでいる彼女たちの表情もあぁ、なんて愉しそう。やっぱり行かなくて正解だったなと考えながら相槌をうつ。出会った当初はまだこんなに壁は無かった気がする。いつも三人ではしゃいで騒いで。でも二人がいつの間にかびっくりするほど近くにいて、わたしと彼女たちとの距離は正三角形ではないことに気付いたときから、ずっとこんな風だ。自分でもこの関係をどうしたいのか分からない。煩わしいような気がするのだけれどでも、本当は寂しいんだと思う。…少しだけだけれど。


 「今度は一緒に行こうね!」とお決まりの言葉に対してうんと応えながらもそんな日はきっと来ないだろうということにわたしは気付いているのだ。




【サンカクカンケイ】
(“三人”はいつも)(うまくいかない)

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