眼鏡少女

□PLEASE GIVE ME YOUR LOVE
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寂しい、寂しい。


私だけを愛してくれる人が欲しい。絶対的な愛が欲しい。




馬鹿げた叶わない夢を見て、紛らわすために夢小説を読み、漫画を手に取る。

この間失恋したし、なんだか一生惨めな気がしてならない。


若い頃は、今が永遠だと思えがちだとか、先人は言うけれど。

しょうがないじゃない。
この先ずっと今みたいな惨めな人生を送らないって保証、ないでしょ?


ウダウダ悩む自分も嫌いだし、二次元に依存してる自分に確かに嫌悪感が感じられる。


そこにしか居場所がない気がした。夢小説の見過ぎなんだよね、私は厨二か。馬鹿馬鹿しい。



今は、NEXTになりたいんだよね。んでさ、まっすぐで優しい人に会いたい。

無理だけど。


昼下がり。高校の夏期補講から家に帰ってきた。


鍵を開けて、玄関の見慣れたドアを開け、靴を脱ぐ。右側の靴を脱ごうと左足のかかとで靴をずり合わせた。





と、その時

「……ん?」

なにか異変が起きたような気がした。

ピリッと身体中に刺激が走った。静電気のような、しかし痛いほどではない。

とにかく私は、日常から逸脱したなにかが起こったと、確信した。

鼓動が早くなる。

トクッ、トクッとなる鼓動に合わせ、少し呼吸も乱れてきた。

超常現象は信じる方だ。
寧ろ、超常現象を待ち望んでいた私にとっては、好奇心に胸が踊るような出来事だ。


何かが変わる。

すでに変わった。


ついに、超常現象を味わうことが出来る。

ゆっくりと、まるでもったいぶるように先ほどの動作を真逆に繰り返した。


ドアノブに手をかける。

すーっと胸に息を溜め、ドアノブをひねりながらドアを一気に全開に開け放った。


ガシャンッとドアが開け放つ衝撃に唸り、普段の夕方なら有り得ないほどの光が差し込んだ。


差し込む光から眼球を守るために反射的に目をぎゅっと閉じる。

すると、少し遠くで様々な車が通りすぎる音がした。

ザーッと風が鼓膜を撫で、肌を撫でていく。

少し排気ガスの臭いがして、昔、神戸に旅行したときもこんな臭いがしたな、と思う。
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