夢物語

□巧州国王伝記 伍
1ページ/13ページ

蓬山には一人の少年がいた。

姿は15ほど。

銀の髪をした、美しい少年。

女仙に愛され、育てられている。

巧州国の麒麟。

巧麒である。

麒麟は十代半ば頃から成人するのだが、その姿は未だに成長を続けていた。


そんな彼には一つの悩みがあった。


「巧麒〜〜〜!」


「はぁ。」

彼の女怪。
灰火。

一言でいえば、過保護である。

彼女に言わせれば、王とは昇山してくるもの。
彼が下山することを許さないのである。
そして、使令が2匹。
知能は高いが戦闘能力は低い。
彼女が危険なところへ連れて行かないためである。
それがとても不安だった。

漠然と感じる不安。
それは焦りのためではないことを、彼自身確信していた。
根拠はない。
だが、

足りない。

そう感じるのである。

王はどこかにいる。

そうも感じる。

だが、はっきりとしないのは、
まだ迎えに行くことができないのは、

(まだ、相応しくない…)

きっと偉大な王になる。
自分の主は、間違いなく賢君だ。

その確信が、彼を踏み止まらせている。

(俺は、もっと強くなきゃいけない。)


彼は、ある計画を立てた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ