夢物語
□巧州国王伝記
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黄山の奥地に、その場に不似合いな建物がある。
白い壁に朱色の瓦屋根。
形は古代中国の建物にも似ている。
その家から一人、何かの破片を大量に抱えた少女が出てきた。
中世的な整った顔立ち。
右目は赤、左目が蒼の瞳をしている。
少女がため息をつきながら庭にその破片を置いた。
すると…
ガシャン!!
「…師匠!頼むからじっとしててくれ!!」
少女は大股で家の中へと消える。
音のした部屋へ出向いてみれば案の定。
床に散らばった皿。
確かあの皿は犯からの贈り物ではなかったか。
破片を拾っているのは青い髪、青い瞳の青年
但し、割ったのは彼ではない。
「ちょっと待ったー!!」
ガシャン!
「あ。」
そう声を発したのはこちらでは珍しい漆黒の髪に翡翠の瞳をした女性、朔緋である。
「零咲、白夜。掃除しておけ。」
「師匠がじっとしてれば割れる皿も増えないし、仕事も増えないんだってば!」