夢物語
□巧州国王伝記 第二章 壱
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天勅を受けて玄武に乗って翠篁宮へと渡る。
下から見ているものには瑞雲として崇めていることだろう。
過去に過ちを犯しているこの自分を。
「…」
空を見上げてそっと瞼を閉じる。
彼の国で知り合った少年は、安らかに眠れているのだろうか。
「主上、難しいお顔をなさっていますよ。」
巧麒の言葉で目を開ける。
心配そうな顔をした彼がそこにいた。
「別に。
巧麒、俺は翠篁宮に入ったら――――になるよ。」
「え?」
「必要なことだと思うからな。」
「…私は、あなたに従います。」
「そうしてくれ。
きっとお前の負担が一番大きくなるぞ。
覚悟しておけよ。」
「はい。」
そう、これから始まるのは腹の探り合いの騙し合い。
仁獣にそんなことはっきりといわないけれど、人間は欲深い。
ましてや先王を崩御させた張本人らを信用しろというほうがまず無理だ。
あちらはいかにして俺を懐柔するかを考えていることだろう。
(俺はそう簡単には行かないぜ?)
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