宇宙色の恋(新婚編)

□初めてのお使い
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「それじゃあ行ってくるわね」
「おい、本当に大丈夫なのか?」

ギロロの心配をよそに夏美は上機嫌だ。
「大丈夫よ、心配性ね」
「そうはいってもだな」

玄関先でもめている二人のところにケロロがやってきた。

「ギロロ伍長、出動命令が出ている筈であります…」
「早く任務についてもらわないと…って、アレ?」

「ゲロッ?ギロロ伍長、夏美殿」
「どうしたのでありますか」
二人の姿を見たケロロはその様子に首を傾げた。

「夏美が一人で宇宙人街に行くと聞かなくてな…」
「ゲロッ?宇宙人街でありますか?」
「夏美殿が?一人で?どして?」
ケロロはさらに首を傾げた。

「頼んでいたお料理の本が入ったのよ」
「本当は俺も行く筈だったのだが…」
「ギロロはお仕事でしょ?お仕事優先よ」
珍しく任務以上に自分と宇宙人街に行くことが出来ない事を
残念そうにしているギロロを見て
夏美は少し驚き、また嬉しかった。
だが任務を休ませるわけにはいかず
また夏美自身、宇宙人街に興味がある。
其処で夏美は一人で行くと言い出したのだ。

「ちょっとボケガエルからも何とか言ってやってよ」
「ギロロったら心配して止めるのよ」
夏美はケロロに助けを求めた。

「ギロロく〜ん、いいじゃない、行かせてあげれば」
「ケロロ、おまえ!」
ギロロはケロロが夏美の味方についた事に腹を立てた。

「お前だって知っているだろう…」
「宇宙人街にはいろいろな宇宙人が来る…」
「けして治安がすぐれているとは…」
ケロロはニッコリ笑うとギロロの話が終わる前に
ギロロの口に手を当てて話しを止めた。

「夏美殿なら大丈夫でありますよ」
「それに今ならちょうどモア殿も行っているのであります」

「宇宙人街にか?」
「いかにも、小隊のおつかいを頼んだのであります」
「向こうでおちあえば夏美殿もギロロも安心でしょ?」

「モアちゃんがいるなら心強いわね」
「…それならば…まあ…」
モアがすでに宇宙人街にいると聞いて
ギロロも少し安心した様子を見せた。

「それじゃあ決まりね」
「ギロロはお仕事頑張ってね」
「あ、ああ…夏美、これを頼む」
ギロロは小さな紙切れを夏美に手渡した。

「これは?」
「商品の引換券だ、お金は払い込んである…」
「これを渡せば品物をくれる筈だ」
「本当は俺が直に受け取りたいのだがな…」
「わかった、もらってくるわね」

夏美はギロロとケロロに手を振ると家を出ていった。
「さあ、ギロロ伍長はお仕事であります」
「了解だ」
ギロロは夏美が角を曲がって見えなくなったのを確認すると
地下基地に向かって歩き出した。
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