MOON RABBIT U

□白い暁
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「…ん…。」


リーマスが身動きしている気配がする

私は目を閉じて、狸寝入りを決め込んでいた

けれど、反射的に長い耳がピクリと動く

それに気付いたのか、リーマスが体をゆっくりと起こした


「…ウサギ…ナキ…?」


寝ぼけているのか、リーマスはトロンとした口調で私に問いかけてきた

けれど、私は眠っていることにしているため、リーマスの問いかけには反応しない

起きない私を見て諦めたのか、リーマスは優しく背中を撫でた


「また、キミのその姿が見れるとは思わなかったよ。もう…ダメかと思っていたんだ。近づくことも、離れることも許してくれなかったからね。キミの本心が知りたいな…。温かい紅茶でも淹れて、待っているとするよ。」


独り言のようなその言葉の終わりと同時に、背中を撫でていた彼の手が離れて、少し冷たい空気に触れた

静かに扉が開き、静かに閉まった…


『…ハァ…ハァ…』


緊張が一気に解けたように、私はすごく疲れてベッドの真ん中に転がった

けれど短い手足じゃ思うように楽な体勢をとることができない

仕方なく、人間の姿に戻ることにした


「…私が起きてること、知ってたのかな…。だから、あんなこと…。」


さっきのリーマスの言葉が気になる

それを確かめるためにも、リーマスが知りたがっている私の本心も、このベッドの上から降りて部屋を出なければいけない

そのちょっとしたことが、今の私にはとても難しいことのように思えた


「…でも、行かなきゃ。リーマスの本心だって、聞きたい。」


固く握り締めた拳を、自分の胸へと押し当てる

怖いなんて、行ってる場合じゃない


「(何が怖い…?何を怖がる必要があるっていうの…。私はリーマスの妻で、リーマスは私の夫。逃げる必要なんてないんだから…。)」


そう、自分に言い聞かせ、私は大きく深呼吸した
 
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