MOON RABBIT Ⅱ
□再来
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「…まさか…そんな…。」
ハリーがいて、ロンがいて、ハーマイオニーがいて…
もう１人、ハリーの下敷きになっている誰か
もう１つ、ロンが大事そうに抱えている何か
誰なのか、何なのか分かって、私は一瞬言葉を失った
「…シリ…ウス…？」
床に倒れていた誰か
十数年前まで気品と無邪気さが漂っていた彼
今では、顔は痩せこけ、服はボロボロ…
私が知っている彼の面影は、彼だと分かった理由は、あの力強い瞳だった
「シリウス…シリウス…！！」
「！、ナキ…か！？」
私は倒れたままの彼を起こすために駆け寄った
そこにいた３人が、驚いて目を大きくしている
けれど、それに気付かぬふりをした
「シリウス！何でこんなに…！！」
「…私の話を、誰からも聞かなかったのか？」
自分のことを「私」と呼ぶ彼
何故だか、少し寂しくなった
私の知っている彼ではないような気がして…
「…シリウスの…話…？」
「ナキさん！そいつは凶悪な殺人犯だ！！危ないから離れてッ！！」
「殺人犯？何言ってるの？シリウスが、そんなこと…」
「ナキさん、事実だよっ！！」
ハリーの声も、ロンの声も、聞きたくなかった
今はただ、懐かしい友人との再会を祝ってほしかった