MOON RABBIT U
□白い暁
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しばらくして、私は目を開いた
泣きつかれて眠ってしまっていたらしく、空を見上げれば茜色に染まった雲が私を見下ろしていた
私は息をつきながら、飲まず食わずで弱く重くなっている体を起こす
油をさしていない人形のように、手足の関節がミシミシと悲鳴を上げた
「…お腹、すいた…。」
無理やり動こうとすると、後ろから殴られたように頭に痛みが走った
体が私に対して怒りを表しているのだろうか
体の内や外、全てが小さく震えているかのように痛かった
「…ごはん…?」
部屋を出ると、リーマスの姿はまだなかった
その代わり、テーブルの上には冷めた料理が並んでいた
ゆっくりとソファ座り、じっとそれを見つめた
「…いただきます…。」
手を合わせ、ゆっくりと言葉を紡いだ
一口、口にすると、作った人の優しさがじんわりと伝わってきた
すでに冷めてしまった料理なのに、心が温かくなるようだ
「…こんなに優しい人なのに、何で私には…ちゃんと言ってくれないんだろう。」
伝わってくるのは優しさ
胸に染みるのは自分に対しての嫌悪感、無力感
遠くなってしまった大きな体、温かい手…
脳裏に浮かんできたのは、離れた所で私を見つめる彼の姿
近づくことも、離れることもできず…
ただ、立ちすくんでいた