MOON RABBIT U
□白い暁
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1日のほとんどをベッドの中で泣いて過ごし、お腹がすけばリーマスがいないうちに、置いてある冷めた料理を機械のように胃へ流し込む
そんな日々が、何日続いただろう
私はもう、誰かと言葉を交わす行為を忘れかけていた
「…ナキ。」
私が忘れてしまった声を聞いたのは、そんな時だった
「こうやって話すのは、久しぶりだな。」
ベッドの中で、私は震えていた
リーマスの声を聞けた、話かけられた
そんな嬉しさとは裏腹に、何を言われるんだろうと体が強張る
ギュッと目を閉じて、彼の言葉をひたすら待った
「…最近、ずっとキミへの答えを考えていたよ。キミが一番恐れているのは何か…ってね。」
ゆっくりと、ゆっくりと…
まるで用意していた文章を、間違わないように確かめながら口にしているように…
「答えが分かったんだ。たとえ、私の一方的な自惚れでも構わない。」
私の中で、期待と不安が混ざり合う
「怖がらないでくれ…私の言葉を。恐れないでくれ…私が離れていくことを。」
…あぁ…
「キミを独りになんて、させはしない。キミに触れた時から、指輪を渡した時から、婚姻届を書いた時から…いや、出逢った時から、私はキミの隣から離れないと誓ったんだ…!」
…言葉が、温かい…
「ナキ…キミを愛してる…愛しているんだ…。」
「…リー…マ…ス…。」
必死にしぼり出した声はそれだけ
たったそれだけ…
けれど、それだけでもよかったのかもしれない
布団から涙で濡れた顔を出すと、大好きな笑顔がそこにあった