MOON RABBIT U
□屋敷
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「寒いかい?」
「大丈夫…。」
しばらく引きこもっていた私の運動もかねて、私達は夜の城を散歩していた
指を絡めるようにして繋がれた手は、まるで日の光があたっているように温かい
しばらく冷えきっていた私の心も、リーマスの声や体温で温かく満たされた
「…今まで、すまなかったね。こんなに痩せてしまって…。」
「痩せてなんかないよ。リーマスが作ってくれた料理は全部食べたし。」
「嬉しかったよ。それに、私の考えが当たっていて良かった。私は、ナキの魔法はとても素晴らしいと思うよ。」
「…ありがとう。褒めても、何も出ないよ?」
「そんなものはいらないよ。ナキが隣りにいてくれれば、それでいい。」
手を繋いで笑いながら歩く
ただそれだけのことが、こんなにも幸せなことだとは思わなかった
好きな人が隣りで笑いかけてくれてる
それだけのことなのに…
「…ナキ?どこか痛むのかい?」
「ううん…。嬉しいんだ。」
それだけのことなのに、嬉しくて涙が溢れた
その涙を拭ってくれる彼の手
青い文字の光る指輪
共鳴するように私の胸元の指輪の文字が光りだす
「キレイだね。」
「…うん。」
私は、2つの指輪の輝きを見つめてた
けれど、あごをクイッと上へ向けられてしまう
微笑んだリーマスが、私の髪を優しく撫でた
「私がキレイと言ったのは、キミだよ…ナキ。」
「リー、マ…ス…。」
少しずつ近くなるリーマスの顔にドキドキしながら、私は彼の名前を口からこぼしたように小さく呼んだ