01/18の日記
15:48
挨拶10題
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ふ、と意識が浮上する。
重い瞼をゆっくり持ち上げて、目に映ったのは、見慣れた薄汚れた天井。
(……)
覚醒した脳が、眠りに入る前のことをゆっくり思い起こす。
(…食事中に邪魔が入り、それに仕置きをして──)
指先の感覚がじんわりと蘇り、軽く痙攣を起こしたとき、ふと、そこに柔らかい感触があることに気が付く。
回想作業を中断して、首をそちらに動かせば、
(……──そう言えば、切り離された右手を繋げさせていたな…)
視線の先には、これも同じく、もはや見慣れた茶色の頭。
規則正しい吐息が聞こえ緩やかに上下する肩を見る限り、それの意識は夢の中だろうことはわかった。
そしてその手は、我が輩の腕と手に触れていた。
指先に意識を向ければ、切り離される前と同じ感覚が戻っている。
すっかり、元通りだ。
少し生えていたトゲを消しながら、くい、と意識的に指を曲げ、力の抜けた細く白い指を緩く握ってみる。
トゲで少々傷ついてはいたが、それは柔らかく、皮手袋越しにであるにも関わらず、温い体温を伝えてきて。
おもわず、吐息を漏らした。
そのわずかな動きを感じてか、触れていた指にわずかな力が入る。
気付いたか。
深い呼吸音と共に、それが…ヤコの指が我が輩の指を握り返してきた。
「…んぅ…?」
気が付いたか、ナメクジ
「………ぅ…?」
おぼろげな目をあげたヤコが、我が輩をとらえる。
気が、付いたか…?
「……ぁ…ー、…」
握った手を見ていたので、わざと更に力を込めてやれば、痛いと喚くと思った
───の、だが。
ヤコは口元を緩め、ただ、目を細めただけだった。
空いていた指先で我が輩の手首を撫で、小さく息を吐いて──
「…ネウロぉ」
「 」
寝起きの掠れた声は
どこか
温い感じがした
………しかたのない、
温い空気につられ、我が輩もそっくりそのまま、同じセリフを返してやることにした。
01:「おはよう」
絵石屋編のあのシーン(^^)
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