彼岸島読み物

□その日の魔法うさぴょん
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《ねつ造しまくった前回のあらすじ》
 
 村人Aは風に乗ってやってきたそれに地面に倒れ込み、村人BとCとDは気を失いそうになった。

「ううっ」
「くっ・・お、斧神様っ側に来ないで下さい!」
「え、俺?」

 夏のとある日、村人達は揃って斧神様の汗とかアレとかああいうのとかが染みついた山羊マスクスメルに悶絶していた。(吸血鬼の嗅覚の鋭さがいけなかったようだ)
 そんな吸血鬼達の苦しみが彼を呼んだ。

「どうしたお前達」
「み、雅様っ」
「雅様!どうか斧神様の山羊マスクスメルをどうにかして下さいっ」
「え、俺が原因?」

 村人の訴えに珍しく応えた雅はズボンのチャックを開けると一抱えもあるお手製ピンクウサギマスクを取り出してみせた。
 そう、それが山羊マスクに代わるウサギマスクとの出会いだった。そしてスペアが出来たことにより山羊マスクスメルから解放された村人達は雅に感謝しつつ、ほんのりウサギマスクから漂う雅スメルに心を癒されたのだという。後日、雅が斧の代わりに魔法のスティックを専用武器として持って来たため、斧神は魔法うさぴょんとして生まれ変わったのだった。

(以上、あらすじでした)

 斧・・魔法うさぴょんの日記。

『朝、人間達レジスタンスが村に乱入した』

「くそっ人間共め何て人数だっ」
「こうなったらもうあれしかないな」
「そうだな。いいかみんなっ声を合わせて言うんだぞ!」

『助けてっ魔法うさぴょん様!』

 レジスタンスに追い詰められる吸血鬼の叫びを聞きつけ彼は現れる。
 
「・・・呼んだか・・ぴょん」

 頭には毛づやが艶々眩しいピンクなウサギマスクッ!
(鼻を押すと耳がぴくぴく動くぞっ)
 手にはラブリーな魔法のスティック!
(先端が開いて七色に光るぞっ)

 彼こそが吸血鬼の希望の星、魔法うさぴょん様(旧 斧神様)だっ!

「レジスタンスかぴょん。覚悟しろだぴょん・・・」
「どうしたんですか魔法うさぴょん様っ昨夜徹夜でみんなで練習したあの台詞を言って下さい!」
「う・・・」
「魔法うさぴょん様っっ」

「ひ・・」

 言いかけて言葉を切った魔法うさぴょんは、期待に輝く目でこちらを見つめる吸血鬼達の姿に拳をぐっと握り締めて大きく息を吸い込んだ。

「彼岸花に代わっておしおきだぴょん!」

 静まりかえる周囲、ただ、レジスタンス達のハアハアという呼吸音だけがやけに大きく聞こえた。

「こ、怖え・・・」
「何なんだよあいつ・・頭はあんなにファンシーなのに、首から下は筋肉もりもりだなんてっ」
「ぴょん・・ぴょんって何だ!?野太い声で言うのはやめてくれ〜!」
「だ、だめだっビジュアル的に受付ねえ」
「俺今日は御飯食べれそうにないや」
「俺、今夜夢に見そうだよ」

「・・・・・・」

 戦意を喪失したレジスタンス達は引き上げ、魔法うさぴょん様は戦わずして勝利した。

「やりましたね!魔法うさぴょん様っ」
「凄いですよ!魔法うさぴょん様!」
「次はコスチュームも作りましょうねっ」

「・・・・・・」

 夕方になり無言のまま村を出て裏山に登った魔法うさぴょん様は、三角座りをしながら何時までも夕焼けの空を眺めていたといいます。

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