実話集

□最強の敵
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昼食まであと10分。
そう思うと少しだけ緊張がやわらいだ。


今、私は最強ともいえる敵と死闘を繰り広げている。


戦うと言っても、殴り合い、言い合いをしているというわけではなく、ただ普通に
いすに座り、授業を受けているだけである。


そして、私は、毎日この時間、
誰も知らない静かな戦いをヤツと繰り広げていた。


ヤツとは、みなさんも一度は戦ったことがあるであろう有名なヤツである。

ヤツの一般的な呼ばれ方は
腹の虫または、腹の音である。


なんだよ、腹の音なんか気にしてんのかよっと思った皆さん…ヤツをなめてかかっちゃいけません。

なぜなら、

今は、午前中最後の授業中。
授業は普段よりも静かにスムーズに行われていた。

ここで腹を鳴らしてみようものなら…考えるだけで、恥ずかしい。

ぐう〜と、なって隣の男子に聞こえようものなら、何を言われるかわからないし、

鳴るまでは、どのくらいの大きさで、どんな音で、どれくらいの長さでくるかもわからない。


まさしく、最強である。


ヤツについてみなさんに説明が終わった瞬間、おなかをなんともいえない不思議な感触が襲ってきた!


(来たっ!)


反射的に手が動き腹を強く押さえる。
しばらく、そうして耐えると、ヤツの攻撃を回避できる可能性が高くなる。

(とりあえず、危機回避つまり防衛に成功した)
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