オリジナル

□頑張れ女の子!
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がっしゃーん


彼にどうしても喜んでもらいたくて、
ちょっとだけ、褒めてほしくて
彼の好きな料理をつくるつもりだった。

でも、

見事に失敗した。
しかも、彼の目の前で、
彼の家で・・・

台所には、割れた皿が数枚。

わざとではなかった。
つい手が滑って…何枚か床に落ちてしまった。

「どした?だいじょ・・・うわぁ、やっちゃったなぁ」

台所に駆けつけた彼は
唖然としたように割れた皿を見ている。

「…ごめん。」

こんなハズじゃなかったのに。
そんなことを思いながら、
割れた皿を片付けていく。

「いや、別にいいけどさ、ケガなかったか?大丈夫か?」

彼はあたしの失敗なんか、何も気にせずに、心配をしてくれる。

「ケガはないけど・・・お皿が・・・・」

あぁ、本格的に落ち込んできたかも。
これじゃ、喜んでもらうどころか、迷惑しかけてない。

「いいって、気にすんな。寿命だよ。皿の寿命。ケガがなかったならそれでいいって」

彼は笑いながら言った。

彼に、喜んでもらいたい。少しだけ褒めてもらいたい。

彼のために、頑張りたい。

ただそれだけだったのに、皿は割れてしまった。

いつもそうだ。
いつもあたしは失敗ばかり。全部キレイに空回り。

「ほら、元気だせって。なっ、大丈夫だからさ」

割れた皿を片付けながら、彼は言った。

「うん。元気出す。次はちゃんと頑張るから」



割れた皿を片付けながら、
あたしと彼は少しだけ笑った。


次は、成功させるから。
あなたのために、あたし頑張るから。



あとがき
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