オリジナル
□憧れてたの
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陽も落ちて本格的に夜になる。
窓の外を見れば、星がきらきらと光っていた。
部屋の電気を点けて、リビングの椅子にゆっくりと腰掛けた。
静かだ。
ただ、机の上には、出来立ての料理が並んでいる。
はりきって作りすぎたなぁ…と少し苦笑い。
料理なんて大嫌い。そう言っていた自分が懐かしい。いつの間に、こんなにはりきってしまうほど、料理を作ることが好きになったのか。
そんなことを考えていれば、玄関のドアの開く音がする。
急いで椅子から立ち上がり、玄関へと向かうが、行動は彼の方がはやかった。
リビングのドアが開く
「ただいま」
にっこりと彼が笑う。
「おかえり」
私も笑う。
「うわっ、また頑張ったね。」
机の上に並ぶ料理を見るなり彼は驚いて言った。私は苦笑い。
「気づいたら、こんなに…作っちゃってたの」
「まあ、いいけどさ。」
そう言うと、彼は部屋に置かれているベビーベットへ足早に向かう。
「ただいま」
すやすや眠るわが子に向けて、彼は小さく微笑んだ。そして、優しく、頭を撫でる。
私も彼の隣で、わが子を見る。
すやすやと気持ちよさそうに眠っている。