オリジナル

□憧れてたの
1ページ/2ページ

陽も落ちて本格的に夜になる。
窓の外を見れば、星がきらきらと光っていた。

部屋の電気を点けて、リビングの椅子にゆっくりと腰掛けた。

静かだ。

ただ、机の上には、出来立ての料理が並んでいる。

はりきって作りすぎたなぁ…と少し苦笑い。

料理なんて大嫌い。そう言っていた自分が懐かしい。いつの間に、こんなにはりきってしまうほど、料理を作ることが好きになったのか。

そんなことを考えていれば、玄関のドアの開く音がする。

急いで椅子から立ち上がり、玄関へと向かうが、行動は彼の方がはやかった。

リビングのドアが開く

「ただいま」

にっこりと彼が笑う。

「おかえり」

私も笑う。

「うわっ、また頑張ったね。」

机の上に並ぶ料理を見るなり彼は驚いて言った。私は苦笑い。

「気づいたら、こんなに…作っちゃってたの」

「まあ、いいけどさ。」

そう言うと、彼は部屋に置かれているベビーベットへ足早に向かう。

「ただいま」

すやすや眠るわが子に向けて、彼は小さく微笑んだ。そして、優しく、頭を撫でる。

私も彼の隣で、わが子を見る。
すやすやと気持ちよさそうに眠っている。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ