実話集
□最強の敵
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ホッと一息ついて、ゆっくりと腹にこめた力を抜いていく…
ひとまず、安心だ。
ふと、時計を見れば授業終了まであと3分。
(早く終われ!!)
何度も心の中で繰り返す。
今だったら、どんなに難しい問題を先生に当てられても、先生が底冷えするようなギャグを言ったってかまわない。
もぅ、大歓迎だ。
少しでも腹の音から私を救い出してくれたらどんな人でも嫁に行ったていい
でも、こういう時に限って何もおきない。
本当に世の中って上手くいかない。
いやになる。
そう思っているのも私一人じゃないはずだ。このクラスだけでも何人もいることだろう。
みんな、頑張ってヤツと戦ってる。
負けちゃいけない。
私は負けるわけにはいかないんだ!
時計の針がカタリと動く。
もぅ、秒読みだ。
教室の音が少しずつにぎやかになっていくように感じる。こうなれば、今日の勝者は決まったも同然だ。
ーキーコーン・・・
(終わった)
勝った。
私は勝った。
「あ〜、おなかすいた」
自分の腹にあてつけるようにボそりつぶやくと、腹は小さな攻撃をしてくる。
それは、腹から私への宣戦布告にも感じた。
−完−