長編
□俺と私の物語
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「祐一くん。」
私が、そう呼べば彼は微笑んで私を見た。
涼しげに、爽やかに、
「どうしたの?さよちゃん。」
透き通ったような透明な声。
包み込んでくれるような優しい声
ごめんね、祐一くん。
本当にごめんね。
私は何度も心の中で謝った。
涙は止まらない。
もう、あなたを一人にさせない。
長い間、待たせてごめんね。
祐一君はただ泣きじゃくる私の頭を困ったように撫ぜた。
「もう、貴方のこと忘れないから、もう貴方を一人ぼっちになんかさせないから、…」
『俺と私の物語』