完結作品
□姫と人魚姫
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ー人魚姫の思いー
「きょーちゃん!!」
浅川ともえは私の姿を見つけるなり、校舎に響き渡るような大声で嬉しそうに大きく手を振った。
…恥ずかしい。
そう思いつつも、ともちゃんに少しひきっりりつつも笑顔で小さく手を振った。
「あさちゃん、相変わらずだね」
「そうだね」
同じクラスの友達、西川さゆりは笑ってそう言った。私も困ったように笑って返す。
ともちゃんは、私が手を振り返すと、にこにこしながら、もう一度手を振って、
一緒にいた友達と話しながら去っていく…
私はその後姿を、ずっと見ていた。
頭からは彼女の笑顔が離れない。