オリジナル

□さよなら
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懐かしいなぁ、

久しぶりに見た君は
一瞬、誰かわからないほど大人っぽくなっていた。

でも、君だって僕はちゃんと分かったよ。

僕ね、

君がぎゅって抱きしめてくれたことも、大好きな友達として、家族に僕を紹介してくれたことも、一緒に寝たことも

全部、覚えてるよ。

でも、君は小さかったから、きっと忘れちゃってるだろうね。


君は少しだけ大きくなって、
僕の存在を忘れた。

そして僕は、君のお母さんに押入れにしまわれた。


もう二度と君に会えないと思ってた。


でも、もう一度会えたね。
僕は君の顔を見る。

でも、君は僕なんか見てくれない
せっせと、僕を大きな袋につめる。

あぁこれで、君とは本当にお別れなんだね。

大好きだったんだよ。君の事。

僕を泥んこにしたことも、
よだれだらけにしたことも、
ぼろぼろにしたこともあったけど。

僕は、そんな君が大好きだった。


大きくなったんだね。
もう、泣き虫じゃなくなったんだね。
1人で何でもできるようになったんだね。


袋越しに、きみは僕を抱きしめた。


懐かしいな。
君はこんなに大きくなってしまったけれど…


僕は、君のこと忘れないよ。
君が僕との毎日を忘れてしまっていても


大好きだよ。
いつも、君のそばにいたから分かるんだ。
君は優しい大人の人に成長したんだね。



きみと、もう一度会えてよかった。
きみが僕を最後にもう一度抱きしめてくれてよかった。

ありがとう。
僕は、しあわせだったよ。


さよなら。
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