オリジナル

□卒業
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彼と過ごした校舎。

すれ違うだけの廊下。

彼の声が聞こえたグラウンド。

笑った彼が見えた、隣の教室。

遅刻と戦って走る彼。

笑って、怒って、楽しんで、喜んで、むくれた彼の姿。


聞こえるだけの声。
見るだけの彼の姿。


全部、終わり。


まだ、好きだよ。
まだ全然、貴方が好き。


でも、今日でさよならだから、諦めるしかないの。

告白なんてとても出来ない。


見るだけの私。
貴方を探すことしか出来ない私。

臆病者で、弱虫で、

でも、後悔はしてない。


だって、…勇気も、貴方と友達になる方法も私は知らなかったから、


『好きです』

貴方の背中に、呟いた。

『ずっと、好きでした』

貴方は私の存在には気づかない。
貴方は私の存在も知らないかもしれない。

でも、好きでした。
大好きでした。


今日が、貴方と会える最後の日。
貴方の声も笑顔も姿も、今日で貴方という存在を感じることは永遠になくなってしまう。


でも、いいの。


さようなら、

好きな人。

卒業おめでとう、大好きな人。


貴方の姿を、この目に焼き付けて、私は今日、卒業します。

この学校から、

貴方の存在を感じた、この3年間から。



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