☆ムスカの小説☆
□ムスカ×ポム爺さん
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※この話はムスカの視点から語られています。
私はロケット艇に乗り、旅客船から飛行石を持って落下した少女を探していた。
そして少女が少年と一緒に洞窟から出てきた所を見つけた。
二人は必死に逃げようとしたが軍隊が素早く取り囲んだ。私の部下が少年を銃のツカで殴りつけ失神させる。
いい気味だ。
少女が必死に少年の名前を呼び掛けていた。
「てこずらせたな。」
私は格好よくそう言い放つと二人の元へ向かった。
…とその途中、洞窟の入り口からこちらを見ている老人と目があった。
(低めの背にがっちりした体。…豊かにたくわえた白いヒゲ。あまり表情のよめない大きな瞳…。…なんてミステリアスなんだ…)
私は胸の高鳴りを抑えるのに必死だった。
…まさかこれが…一目惚れ…ってやつか…?
私は生まれて初めて一目惚れをした
「その少年と少女をフネに乗せて要塞に向かえ。そこで閉じ込めておくのだ!私は小用がある…。一機だけ残して後は要塞に向かえ。」
私は軍隊にそう命じて洞窟の方へ向かった。
老人はどうしたらいいかわからないといった感じでオロオロしていた。
私は紳士的に話しかけた。
「お騒がせしてしまい申し訳ございません。」
「…あの二人をどうするつもりじゃ?」
「なに、心配はいりませんよ。あの二人には聞きたい事があるだけです。彼らは我々の事を勘違いしているようで暴れながら逃げたので少し手荒くなってしまいましたが…」
老人がいぶかしそうに訪ねる。
「…もしや飛行石の事かね?」
「!?」
彼が飛行石を知っているとは…!!
「さっき娘さんに見せてもらったんじゃ。あの石には強い力がある。だが必ずしも人を幸せにしてくれるとは限らない。あまり関わらない方がいいのじゃよ。…貴方の為にも言ってるんじゃ…。」
彼は伏し目がちにそう言った。その流し目が艶めかしい。
(貴方の為にも…だと…?この老人は初対面にも関わらず私の事を心配してくれるのか?…何という深い思いやり…)
私は感動した。こんなにあたたかい人情に触れたのは久しぶりだったのだ。
「お名前は?」
「わしか…?…ポム…じゃ。」
何と可愛らしい名前だろう。その2文字はまるで呪文のように私の心に響いた…