☆ムスカの小説☆
□ムスカ×パズー ラピュタにて
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ムスカはシータを追い詰め玉座の間にいた。
「小僧から石を取り戻せ!」
「シィタァァー!」
シータの身を案ずるパズーがやってきた。ムスカが勝負を持ち掛けると2人きりで話がしたいと言いだす。ムスカは自分の銃の弾を補充したいが為にその申し出を受け入れた。
リロードが終わると3分もたっていないというのに
「時間だ。答えを聞こう!」
と叫ぶ。
しかしパズーは勝負に応じずバズーカを床に投げ捨てた。これはムスカには想定外の事だった。そしてパズーとシータは重ねた両手を前に差し出そうとしている。気味悪さを感じたムスカは素早くシータの額を打ち抜いた。
「っ!!」
「シータぁぁぁ!」
シータは銃撃をくらって鮮血を放ちながら地面に崩れ落ちた。
「ハッハッハッ…」
ムスカの狂気をおびた高笑いが部屋に響く。
パズーはシータの体を抱き上げ何度も呼び掛けたが銃撃によりかなりの損傷を受けていて既に意識の無い状態になっていた。
「何をする気だったのか知らんが愚かな女だ。」
ムスカは冷酷な怒りを含んだ声でそう言った。
パズーは飛行石を握りしめたがパズーでは呪文を唱えても効果が発揮されないのはわかっていた。
ムスカは余裕の笑みを浮かべている。
「リュシータはもう助かるまい。君も同じ目にあいたくなければ大人しく飛行石を渡したまえ!」
ムスカの威圧的な声が響く。
「シータ…シータ…」
シータを抱いたパズーの瞳からはとめどなく涙が溢れている。
ムスカがゆっくりとパズーへ歩みよった。側に落ちているバズーカを拾い残弾を確認すると念の為銃で破壊した。そして泣き濡れるパズーを冷たく見下ろす。
「石はどこにあるのかね?早く渡したまえ!」
パズーはシータをしっかり抱き締めていたが彼女の命の灯火が消えた事をはっきりと感じていた。放心状態のパズーの拳から飛行石が転げ落ちた。
「ハハッ…隠しもっていたのか」
ムスカは狂気を含んだ笑みを浮かべ石を拾いあげた。パズーはあまりの絶望に虚ろな目をしていた。
「そんなにその少女の事が大事だったのかね?」
ムスカが嘲笑を含んだ口調で尋ねる。
パズーは悔しさで歯を噛みしめると
「お前なんかにわかるはずない。」
と枯れた声で呟いた。そして涙を腕で拭うと
「お前は人間の皮を被った悪魔だ。」
とムスカに言い放った。ムスカはムッとした表情を浮かべる。
「言葉に気を付けろ。死にたいのか?」
「…………」
パズーはあまりの悲しみと絶望にどうしたらいいかわからなくなっていた。パズーの返事の無い事に更に苛立ちを重ねたムスカは銃口をパズーの額に突き付けた。
「死にたいのか?と聞いているんだ!」
一瞬の間の後、茫然自失としていたパズーの顔に再び一筋の涙が流れた。
「……っいやだ……」
さっきまでシータと共に死ぬ覚悟があったというのに…
シータを守りきれず死なせてしまったというのに…
いざ銃口を突き付けられると何故か生への執着が生まれてきた。
パズーは両の瞳からボロボロ涙を流し嗚咽をもらした。
「おやおや。リュシータと同じ場所に行きたくないのかね?リュシータは君を待っているかもしれないぞ」
ムスカの言葉が鋭いナイフのように胸に突き刺さる。パズーは俯いてただひたすらシータの顔に涙を落とす。その涙はシータの血と混ざって流れていく。
ムスカは銃を突き付けながら
「立て。ついてこい」