銀魂(長編)
□路 6話
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―万事屋にて
「銀さん、何とかならないでしょうか」
新八は相談を持ち掛けてみる。
「何とかって何がよ?」
何時ものように銀時のやる気のない声が返ってくる。
「姉上の事ですよ。僕本当に心配で…。あのままでは本当に姉上は倒れてしまいます」
「痴話喧嘩は犬も喰わないって言うでしょ〜が。放っとけよ。そのうちに吹っ切るだろ〜」
鼻毛を抜きながら、銀時はいい加減な返事をする。
「そんな!銀さんは姉上のあの様子を眼にしていないからそんな暢気な事が言えるんですよ!」
「…俺ぁよぉ、離れていった九兵衛の気持ちも分かるんだよ。あいつ、本当にお妙に惚れてるんだよな」
「でも、離れて行ってしまったら何もならないじゃないですか」
「お妙の事を思って離れたんだろ〜。自分の怪我のせいでお妙を縛り付けない為に。だったら俺らに何が出来るんだよ。完全に二人の問題だぜ」
「…それは分かってますよ。それで姉上が楽になれるのなら僕だって…」
「だったら…」
「でも、姉上は実際に今も苦しんでる。九兵衛さんがいなくなったって、何も変わらないじゃないですか。いや、今まで以上に苦しんでる」
「………」
「せめて、もう一度会って話しをさせてあげたいんです。それでも駄目なら、姉上も納得が出来るんじゃないかと思う。今回の事は、あまりにも突発的で一方的だったから…」
「だったら、お前がお妙にそう言ってやれよ。今の状況を少しでも変える努力をしようって。あいつが自分から九兵衛に会って話し合いたいって言うのなら、その時は俺も協力するぜ」
「銀さん…」
「今のまま、他人に引っ張って行かれるだけじゃ駄目だ。自分から行動しようと思えなければ意味がない」
「………」
「九兵衛はいつだって真っ直ぐにお妙に向かっていたぜ。間違いもあったが、それでも常に真っ直ぐだった。それに対するせめてもの礼儀だろ」
新八は銀時の言葉を聞き、暫く考え込むように俯いていたが
「…銀さん…僕、今日は早退させてもらいます!これから姉上とキチンと話し合ってみますから!」
そう言って新八は万事屋を飛び出して行った。