銀魂(短編)2

□お花見
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「新八〜!良くやった。上出来じゃねーか」

「もう、来年は場所取りなんて御免ですからね。すっごく疲れたんですよ、僕」

「まぁまぁ、そう言うな〜これから盛り上がろうって時に辛気臭いぞ!」

「銀ちゃん、此れもう食べてもいいアルか?」

「おお、食え食え!じゃんじゃん食え〜」


桜の花も見頃となり、前から予定していた通りに私達は、万事屋の皆を誘ってお花見にやってきていた。

万事屋の三人は、早くもお酒や食べ物を取り合って一悶着起こしている―。



「…すごいな。酒が入る前からあれなのか」

「九ちゃん、あの人達は普通じゃないんだから真似しちゃ駄目よ?」

「…ああ」


その騒ぎに目を丸くしているあなたに、一応、忠告をしておく。


「お〜い、九兵衛。何シケた面してんだよ。飲め飲め!今日は宴会じゃね〜か」

「あ、ああ…」

「こう言う時は、酔っ払ったモン勝ちだぞ〜。ほら飲め飲め」

「う、うん」

「ちょっと、銀さん。九ちゃんはあまりお酒に慣れていないんだから、そんな急に…」

「いいじゃねぇか。んなもん、飲んでみないと分からねぇよ。案外イケル口かもしれないだろ〜」

「…でも」

「おっ!いい飲みっぷり!見ろよ、お妙。こいつ案外イケるぞ〜。もっと飲め飲め〜」

「姉御〜!この重箱の方も開けてもいいアルか〜?」

「あ、神楽ちゃん、ちょっと…」


楽しいけれど、想像通りのゴタゴタの状態にすっかり私も振り回されてしまう。


「神楽ちゃん、其れはお酒よ!あなたはまだ飲んじゃ駄目!」

「姉上〜、姉上も一杯どうですか?はい、飲んで飲んで」

「…新ちゃん、あなたも酔っ払ってるの?」

「此れくらいじゃ、酔ったりしませんよ〜。あはははは」

「…酔ってるわよ」


うるさい連中に振り回されている間に、ふと、そう言えば九ちゃんは、と思い出す。


「―九ちゃ…」

振り返ろうとすると、ちょうどあなたの頭が私の肩にもたれかかってきたところだった。


「…九ちゃん?」

「うん…」

「如何したの?大丈夫?」

「妙ちゃん、僕の事、好き?」

「え?」


みんなが居ると言うのに、そんな台詞を聞かされ、思わず耳を疑って聞き返す。


「だから、僕の事好き?」

「……九ちゃん?」

「僕は妙ちゃんの事が大好きだ…」


「…酔ってるの?」

「分からない。ちょっと頭がフラフラするけど…」

「一体、何杯飲んだの?」

「さぁ…。銀時に注がれたものをそのまま飲んでたから」

「あのペースで飲み続けてたの?」

「…そうかな?」

「だから言ったじゃない。あの人達の真似しちゃ駄目だって」

「うん…」


私の質問に答えながらも、もうあなたの瞼は下がってきている。


「ちょっと、九ちゃん?こんな処で寝たら駄目よ!」

「…妙ちゃん、大好きだよ」


コテン、と私の膝の上に頭を落として、そのままスースーと寝入ってしまった。




「…もう。完全な酔っ払いね」


そう言いながら、私の着物の裾を握り締めたまま寝入ってしまったあなたの頭をそっと撫でる―。

完全に緊張が解けているあなたの寝顔は、なんだかとても可愛らしかった。











「―気持ち悪い…」

「自業自得よ、あんなに飲んだらそうなるのは当たり前よ」


宴会が終わり、後片付けも済み、すっかり酔いつぶれてしまったあなたに肩を貸しながら柳生家へと向かう。


「お酒には飲み方があるのよ?いきなりあんなに飲んだら大変な事になる時だってあるんだから」

「うん。ごめん…」

「この調子じゃ、明日はきっと二日酔いね」

「…妙ちゃん、大好きだ」


「…九ちゃん、まだ酔いが醒めてないの?」

「大好きなんだ…」

「九ちゃん?」


思わず顔を覗き込むと、酔いで頬を赤くしては居るけれど、わりとしっかりした視線が其処にはあった。


「愛してるよ…」

「九ちゃんってば…」


あまり酔いの混じっていない瞳を見た瞬間、なんだかとても恥ずかしくなってくる。


「…僕には妙ちゃんだけだ」

「如何しちゃったの?九ちゃん」

「どうしても言いたいんだ、僕の気持ち…」

「九ちゃん…」

「こんな時じゃないと、こんな事、何度も言えない…」

「………」

「だから、今くらい、気が済むまで言わせて―」

  





「僕は、妙ちゃんの全てが大好きなんだ―」










いや〜、お花見のシーズンが到来しましたね♪いろいろ考えたけど、九ちゃんは口説き上戸って事にしました。酒乱じゃ嫌だし、泣き上戸も嫌(笑)、絡み酒は論外だし。
甘え上戸はありだと思ったけど…普段も甘える時はあるから、結局、口説き上戸です(笑)
普段、恥ずかしがってあまり言えない気持ちを打ち明けまくる九ちゃんです(*^_^*)

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