□アメフルパラソル
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雨は嫌い
でも
傘は好き




ザーザーザー。
放課後。今日は部活もなく早く帰られるはずが生憎の雨。
しまった、と千海は思った。傘を持ってくるのを忘れていたのだ。
仕方ないから濡れて帰るか。そう思い、革鞄を頭に乗せ走り出そうとすると、すっと一つの折り畳み傘が差し出された。


「この傘をどうぞ、千海くん」
「東雲……」

東雲はにこりと笑うとはい、といって折り畳み傘を渡した。

「あ・あぁ、サンキュ」

乗せていた鞄を下ろし、軽く礼をいうと、えへへどういたしまして。と照れたように笑った。
千海くんは今日は一人なんだね?とか折り畳み傘の使い方わかる?とか聞いてきたがうるせーと一言言い、全部無視をした。



「……そういや、この傘を俺が使うっつーことは、お前はどうすんだよ?」

ふと傘を開きながら千海は疑問に思った。まさか相合傘だろうか。
渋い深緑の傘が、モトが東雲の私物であるとは思えなかった。

「ん〜?大丈夫。傘いっぱい持ってきたから」

といって鞄から傘を取り出した。花柄の、可愛いらしい柄だ。

「……お前、いくつ持ってきたんだ?」

両方折り畳み傘だ。片方を置き傘してるとも思えなかった。

「え〜?わかんないや。鞄にはあと二つあって、他にも何人か貸したし」

……。
意味がわからない。

「ま、いいじゃん!さっ帰ろー」





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