宝物
□草鳥様から頂いた骸ツナ小説
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※頂き物につき転載禁止です※
「やあ綱吉くん、奇遇ですね…」
せっかくの晴れた日曜日。
玄関を開ければそこにパイナップルがいた。
何か手振ってるし。
「こんな所で会うとは嬉しい誤算だ」
こんな所って人の家の前なんですけど?
誤算て間違いなく計算尽くだろ!!
「お前…何やってんの?」
「綱吉く…「断る」
「ちょっと!まだ何も言ってないじゃないですか!」
「お前に関わるとロクなことないだろ。それにオレも出掛けなきゃいけないし…」
「あ、有り得ない…僕という者がいながら出掛けるなんて…」
こっちからしたら有り得ないのは骸の方なんだけど。
目の前の果実はガクンと膝を突き、房を揺らして項垂れる。
「犬と千種とクロームに服でも買ってあげようと思ったのに…。綱吉くんが一緒に行ってくれないなんてこと、有る筈がない…」
クフン、クフンと気持ちの悪い泣き声が聞こえる。
人差し指で道路をいじいじされても全然可愛くないし!
「あー、もう分かったよ…」
そう言えば瞬時に立ち上がり手を握られる。
「では行きましょう」
打って変わってニコニコと上機嫌に
ずられて行った。
ちょ…っと、待って…!
骸に連れられ店の前へとやって来た訳ですが。
「時に骸さん?」
「はい?」
「何ですかね?ココは…」
「君の目は節穴ですか?看板に大きくブティック☆KOKUYO!と書いてるじゃないですか」
名前がとてもダサいのはあえて突っ込まない。
「この店っ!普通の中学生が来るような所じゃないだろっ!」
絶対高いって分かる程、店はキラキラの装飾で眩しかった。
「普通?何を基準に普通なのか分かりかねますが…、君が普通というのなら、随分と基準が低いですよね…」
クフッと鼻で笑われた後、身体を引かれた。
あぁ〜、ドアが開いちゃったよ。
品の良い店員さんが一斉にいらっしゃいませと言った。
あわわと慌ててしまう。
「綱吉くんはどんな服が好きですか?」
「え?」
「素肌にジャケットなんてたまりませんよね…」
「うん、分かったから近づくな…」
それから数時間、骸に付き合わされ店を出た頃には、ぐったりとしていた。
「はい、綱吉くんコレ…」
渡されたのは先程の店の紙袋。
「?」
「付き合って頂いた御礼です」
「え?いいの?」
「ええ、勿論…」
ニコリと笑う骸にオレも釣られて顔をほころばせる。
「ところで綱吉くん…」
ポンと肩を抱かれた。
「服のプレゼントってソレを脱がせたい願望があるんですよね…」
「かっ、返すっ!」
「返品不可です」
どこの悪徳商人だ!
しかも掴まれた肩はびくともしない。
「ブティック繋がりで、このまま直行しましょうか」
「ひっ!」
人の良さそうな綺麗な顔に、オレは自分の苦笑い顔が青ざめていくのが分かった。
<終>
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