不死鳥

□不死鳥+
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喫茶店_


メロの先導で近くの喫茶店へと到着した四人


「取り敢えず注文するか…」


蘭はテーブル隅に置いてあるメニューを机の真ん中へ置きテーブルに頬杖をしそれを眺める


「何飲む…マルコは珈琲だろ?」


「ああよい」



マルコからチラリと前の席に並ぶ二人を視界に映す


メロはかわいらしく座っているが、青雉は見るからに不機嫌そうな表情を浮かべて片手を椅子にひっかけてメロをいつでも庇える姿勢で座っている。



「ご主人も珈琲でよろしいですか?」

「なんでも」

「では私はイチゴミルクを…」


イチゴミルクと言ったメロの視線はデザートメニューのチョコレートパフェに固定されている


「「・・・・・」」


(この女…さっきも饅頭銜えてなかったか?)

(…さっきもオヤツ食べたのにね…可愛いじゃない・・・俺のメイド)


と男2名は心で今にも胸やけを起こしそうになりながら行く末を見守る…



「…了解。
じゃ、イチゴミルク1つと珈琲3つ…あ後チョコパフェ1つな」


「かしこまりました〜」


蘭の言葉にメロはメニューから顔を上げる、その表情は相変わらず無表情で固定されているが、背景に花が咲いたようにオーラが変わる


「……」


「食いたかったんだろ?」


蘭はメロと視線を合せてほんの少し口隅を上げて見せた


「……」

何も言わずにペコ_と頭を下げてクザンに目を向けるメロ

(心を読まれましたご主人…)



「さっき饅頭食ったよね?気のせいかな?」



「…何かおっしゃいましたか?」

(…ご主人はいつまでたっても私の心が読めないのですね)



「・・・・・」


クザンはそれ以上何も言わず、よかったね_とメロの頭をポンポンと撫でてやる_




飲み物も揃いそれぞれ口をつける


もきゅもきゅ_

頬袋を膨らませて淡々と食べていくメロ

相変わらず表情は動いていないが心なしか嬉しそうに見える



「…ご主人?あ〜んして下さい」


クリームをスプーンにすくってチラリとクザンに視線を向けて、差し出す


その姿がなんとも愛らしい



そんな二人を横目に、マルコとパチッと目が合ったが蘭は不自然に目線を逸らす


(あんな事…出来るかよ…)


(蘭、後で覚えてろよぃ)


(何も見てない、なんっにも見てないぞ私は!)




「あらら…いいの?じゃ遠慮なく…あ〜ん…あら?」


スカッ_と空気だけを含んでクザンは苦笑いを浮かべる


クザンの口に運ばれるはずであったそれは

蘭の口元へと延ばされていた



「ん?くれんの?ありがとぉな」


メロに差し出されたチョコパフェを躊躇なく口に含む



「…そりゃ〜ないでしょ」


メロの肩に手を乗せてクザンは残念そうな声をあげる




「蘭…」


「…ん?」


「…ついてるよい」


「んッ・・・」


マルコは蘭の口元についているクリームを親指で掬いとりそのまま自分の口に入れてしまう


「うっわぁ〜見せつけてくれるね〜」


「…蘭様の口端から拭ったクリームですから…さぞかし甘かったでしょうね・・・ヒューヒュー(棒)」



珈琲に口を付けていたマルコはそんなメロの言葉に飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになった


「///」

…ッ…ゴホッ


「おい、大丈夫かよ?」


「・・・ゴホッゴホッ・・大丈夫だよい」


「あ〜ところであんな所で何してたんだ?」


蘭は仕切り治すかのようにメロたちへ視線を戻す



その言葉にクザンが少し前かがみになりにこやかに話し始めた




「そりゃ〜温泉入りに来たに決まってるでしょ…風呂上がりにちょっと火照って上気してるメロちゃんなんて見ないと損でしょうよ。
それに温泉だからね〜いつもの着ぐるみパジャマも可愛いんだけど浴衣着て欲しいじゃない?」


((・・・こいつ・・))



中々の変態っぷりに表情を引きつらせるマルコと蘭




「…お気になさらないで下さい。ご主人はいつもこんな感じ(変態)ですので」


やはり表情の変わらないメロだが蘭には手に取るように気持ちがわかる


「…あんたも苦労してんだねい」


「まぁ取り敢えず浴衣着るのは止めといた方がいいんじゃね?」


「…ご心配なく。いつもの着ぐるみパジャマを持参していますので…」


「「嫌、それもどうよ…」」


「今日はわんちゃんです。」


メロは両手を頭の上に立てて犬の真似をして見せる


「あらら・・・相変わらずつれないんだから」


(とにかく、この二人は仲良しこよしってことだな;)


蘭は少々苦笑いでマルコの方を見る


せっかくの二人でのデートだ、メロのパフェも無くなってきたことだし…



「ちょっと手洗い行ってくるわ」


そう言って席を立つ蘭





「で、あの子は何者なのかな?」


ニヤリとクザンが口角を上げる


「何者?俺の女だよい」


二人の緊迫した空気…


「あの…私という彼女がありながら、蘭様に興味を持つとは・・・ご主人、焼いていただきますか?マルコ様に」



「あらら、拗ねちゃった?」



「・・・・」


クザンが何かを察したのは確かだが、マルコはホッ_とわずかに胸を撫で下ろす



「マルコ様?蘭様も女性です、戦闘時には・・・・・死ぬ気で守るのが男性の務めですよ?ね?ご主人?」



こりゃ…さっきの事を言っているのだろう

クザンの胸に言葉という鋭利な刃物をアッサリと突き刺していく



「蘭は簡単にやられやしねぇよぃ」



「・・・・・女はみな、守ってもらいたい生物なのですよ、ね、ご主人、ご主人はいつも助けてくださいますよね?いつも」



「・・・・あ〜っと・・・・メロちゃん?ごめんね;ほら、また饅頭飼ってあげるから;」



矛先はそっちかよぃ;



そうこうしているうちに蘭が戻ってきた



「さて、マルコ_そろそろ親父の所行こう」

「そうだねぃ…じゃ、お二人さんまた」



「えぇ、とても楽しかったです、ご主人、会計をしてまいります」


「ん。」



席を立ちレジへ向かったが会計は済まされていて
振り返るとすでにマルコと蘭の姿はなくなっていた



「・・・・」

(お礼なのに・・・・)


「あらら、逃げられちゃったね」



__________



「温度差のあるカップルだったな」


「…ま、青雉も人間だったって事だねぃ」



人込みの中、マルコの指先が自然と蘭の手を絡み取る


その横顔は少し微笑みを浮かべていて、気が付いたマルコと視線が交わる

自然とこちらにも伝染して表情が緩んでしまう



「っ蘭さま?」



突然、背中の服を後ろへ引っ張られた


息を切らしているメロが何度か大きく呼吸をして
無表情で何かを差し出される


少しのけぞるようにしてそれを受け取る_



「クッキー?」


可愛らしい鳥の形をしたクッキーが透明の袋に詰められている



「お礼…ちゃんとさせてください」


蘭はフッ_と笑顔を作りメロの頭をクザンがしていたように優しく撫でてやる


「サンキュ…またな」


「えぇ、また・・・・」



そうして、悪魔のごとき可愛さを持つメロは遠くのクザンのいる元へ戻って行った



「さーてと・・・甘いの苦手なんだよなぁ・・・」


歩きながらクッキーを開けてみたが

甘い香りにウッ_と顔をしかめる

(さっきのクリームも珈琲で流し込んだし)



「・・・・・マルコ?」



「ん〜?」



「はい、あーん」



「………・・・・・・・/////////」

















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