再会
□偽りの過去
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「お父さん、今帰りました」
「みじけぇ家出だったな」
グララララ_ポンポンと指先で頭を撫でて豪快に笑う父、白髭
メルは表情を変えることもなくいつもの無表情で、はい_と短く返事をし報告は済んだのだからと白髭の部屋を出ようとした
だが、翻した身体は目の前に壁のようにして現れた白髭の手で簡単に止められた
「親に他に言う事はねぇのか?」
背中に父の低い声がかけられる
他に言う事...?_
帰ってきた報告はしたし、他に言う事とは何だろうか...
数秒考えるが特に思い浮かばない
メルは無表情のまま振り返り小首を傾げた、父は眉間に縦ジワを寄せ少し怒っているようだ...
「...わかりません」
「心配したんだぞ...」
「..._____________」
不思議だった...だって...
怒っているけど、とても...悲しそうにも見えたから
「...ありがとう...ごめんな...さい...?」
その二つの言葉が頭に思い浮かんで、声に出してみた
どちらが正解なのかはわからない
だが、父の表情は柔らかなモノへ変わり、すぐにいつもの優しい笑みを見せてくれた
「ケガがなくてよかった...エースがオメェを探しに行ったが、そのうち戻ってくるだろう、兄弟にも顔を見せて来い」
「エースさんが...私を...探しに...?」
無表情の中の瞳が僅かに揺れた
あぁ_と返事を返すと今までの無表情が一変して、怯えたような...何かを恐れているような表情で青ざめた
昨夜の夢が、本の一部分が頭の中でフラッシュバックされてゆく
最後にエースの消え入りそうな声が、まるで耳元で言たような感覚...
『愛してくれて...ありがとう...』
「っ...;」
「メル?」
明らかに様子がおかしい、白髭は片眉を持ち上げ心配そうに彼女の名を呼んだ
「お父さん...私...エースさんを迎えに行ってきます...」
止めないで_彼女の瞳が強くそう訴えた気がして引き留めることはせずに、ヤレヤレ...と苦笑いを零した
白髭の部屋から出て、甲板を見るとグリフォンが待ってました_と言わんばかりに羽を広げ私に一礼した
「グリフォンさん、エースさんの所へ連れて行って下さい」