再会
□夢のような現実
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心が折れていくような不安がエースの表情を強ばらせた
船長室の前に立つと、今一度考えを巡らせる
このドアを開けるべきなのか...?
彼女がまだ眠りについていなければ、彼女の混乱を招いてしまうかもしれない
それに、眠りについた後...
俺は彼女に何と言うのが正解なのか...?
兄妹として?それとも男として?
また同じ課題が俺の頭の中を支配して、それに苛立ちさえ込み上げてくる
ぁあーもぅ!どうにでもなれ!
声に出たかもしれぬ胸の叫びと共に勢いよく目の前のドアを開けた
「なっ...な!」
何してんだよ!!
ドアノブを握り締めたまま視界の一点を見つめ二の句が継げず口をパクパクと開け閉めして
右手を持ち上げ、その一点を指差した
ベッドの上でローに腕枕をされスヤスヤと眠るメル、予想もしていなかった光景に暫く硬直したまま絶句していたが我に返りすぐさまベッドに駆け寄った
「俺もまだこんなことしたことねぇのに!」
離れろこの変態野郎!
引き剥がしてやりたいがローを無理矢理引っ張り起こせば腕枕をされ眠るメルの眠りを邪魔することになってしまう
精一杯声を抑え、怒りを表情に表してローの肩を力いっぱい掴んだ
「...あぁ...あんたか」
薄く開いた瞳が俺を見上げ、俺は更に怒り顔を作ってローを見下ろす
ローはエースのその表情を見て、隣のメルへ視線を変え、なるほど_と納得した
「さっさと離れろよ」
「心配しなくても一時間は起きやしねぇ、声も荒げたっていいんだぜ?」
「っ!?」
腕枕をしていた手をローがパッと引き抜いた、普通の眠りならそれで目を覚ましてもおかしくはないが、メルは何もなかったかのように寝息を立て深い眠りについている
その間もローは起き上がるとあくびをしながらベッドから降り、飲み物を入れ始めた
このくそ野郎...
そんな暴言をローに心で呟きながらもメルの寝顔を見れば怒りは徐々に覚めてゆく
「目が覚めたら、覚えてるのか?」
「いいや、薬の効いていた間の事は覚えてないだろう...」
まだ眠そうな声でそう言い、湯をカップに注ぐと部屋中にほろ苦いコーヒーの香りが広がった
ローはエースとメルが視界に入る様に椅子を移動させ座るとやっとエースと視線を合わせた