メイド

□未完成
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海を見渡すことのできるテラスで真っ白な洗い立てのシーツが風になびく

ジリジリと夏を思わせる暑い陽光が真っ青な海に照り返る、彼女の輪郭から汗がポタ_っと地面へ落ちた

クザンはベンチへ座り朝刊を見るふりをしながらも彼女の横顔を盗み見ていた



ヒエヒエの実のおかげでクザン自身は暑さなど特に感じない、只、彼女はどうやら暑さには弱いようだ


無表情もいつもとは少し違い、太陽を見上げる彼女の表情は何処か不快気にも見える


いつもなら“暑いね”等と声をかけて、彼女の気を引くのが俺の役割なのだが
昨晩からちょっとした喧嘩をしている為
俺はやり場のないモヤモヤを飲み込むようにして口を噤んだ







「本日の予定ですが」


「昨日聞いたよ、今日はお出かけするんでしょ?誰とデートするかは聞いてないけどね」


「...出かけるだけです」



「誰と出かけるのか今日も教えてくれないの?」





喧嘩の原因はコレだ。

メイドには週に一日の休日が与えられている、だがメロはこれまで休日だからといってメイドの仕事を休むことは無かった


朝の掃除や洗濯、毎食の準備からすべてを当たり前のようにこなしてくれる

休日に違う点といえば、作業の合間にポリポリとおやつを食べる姿があることくらいだろう


なのに今日は突然、出かけると...

“俺も行こうか?”と声を掛けたら



いいえ、同行する方がいますので_



と...誰と出かけるのか聞いたが答えてはくれず
やっと聞けたのが相手が男なのか女なのか?



男性です_



彼女の返事に俺の思考が一瞬






いや、数秒停止したよ



















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