不死鳥
□不死鳥+
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何処の街でもこういう馬鹿はいるもので
「おい姉ちゃん
俺たちとイイコトしようぜ」
4人のガラの悪い男達に絡まれているメイド姿の女の子がいるではないか
その子は動じる事なく無表情で対応しているようだがさっきから掴まれている彼女の左手首はジワジワと赤くなってきている
「……マルコ」
「あぁ…俺が行ってこようかぃ?」
「…私が行く」
白ひげ傘下であるこの島で乱暴な真似をするとは…
マルコと蘭の表情が少し陰りを帯びる
マルコの前に右手を出し静止させ
わずかに笑みを作り蘭は胸の前で右手を伸ばし左手で肩の筋を伸ばすようにしてストレッチをして見せながら近づいてゆく
マルコはそれに答えるように蘭の後姿をその場で見送る
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「おやめください」
メロは声を荒げることも、表情を険しくさせることもなく、無表情でその掴まれた手を見つめるだけで
(痛いんですが…ご主人はこういう時にホントに使い物になりませんね…)
男たちが何か言っているがメロは耳を傾けることもせずに、辺りに目を向ける
先ほどまで一緒にいたクザンはメロの為に饅頭を購入してくるとかなんとか言って
人が多いため、此処で待つように言われたのだが
(…まったく…お饅頭は温泉の後に食べるのがおいしいというのに・・・・)
視線を手へと戻そうとした時、視界の片隅で漆黒の髪が揺らいだ
「なぁ、何してんの?」
散歩でもするかのようなゆっくりとした足取りで
蝋細工を思わせるほどの美女がその口元にわずかな笑みを浮かべ
男たちに声をかけた_
「こんな可愛い子が二人もこの島にいるなんて、俺たちついてるぜ今日は!」
「「は?」」
おそらく世間の人々も見たことのないであろう絶世の美少女が、蘭と声をあわせて言うもんだから
蘭も更にその顔に笑みを広げる
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「あらららん?・・・悩殺ねーちゃんみーっけ」
「よいッ」
((死ね・・・・))
メロの心の声はどこへやら、美人のツレであろう男の後ろに主人を見つけ声をかけようとしたが
その必要はなくなった
蘭の素早い攻撃に、目の前の男たちは数分もかからないうちに地面へと倒れ込み
気絶しなかった者は我に返ったように慌ててその場を立ち去ってゆく
「逃がさねぇよい」
その男たちの前に青い炎がたなびいて
気が付いたときには意識を手放していた
「サンキューマルコ」
「ケガ・・・・ねぇな;」
悠々と手を振る蘭、その身体に先ほどの女が抱き着いている
「・・・・なに?こわかった?」
「いえ、あそこにも怖い人が」
蘭が見下ろし声をかけるが、彼女の表情は変わらず、無表情の大きな瞳が視線をゆるりと変え、白い指が方向をさす
「青雉…?」
「こんな所で海軍が何してんだよい…」
マルコは蘭達よりも前へ出て、少し面白そうに口角を上げる
「あの人怖いです」
「いやいや、メロちゃんそりゃないぜ…あーやめてやめて、休暇中だから、めんどくせぇから」
長い足を前へ進めて、女をメロ、と呼ぶ青雉
「知り合いなのか?」
「・・・申し訳ありません、あまりにも人相が悪いので、ご主人とは思いませんでした。」
蘭の身体からすんなりと離れて、倒れる男を踏みながら彼女は青雉の元へと向かう
「…そちらもデートですか?」
青雉から饅頭を受け取り、また蘭の元へ戻ってくるメロ
「あらら…そんなのに懐いちゃだめでしょうが」
「………私は蘭、怪我は大丈夫か?」
「海軍専属メイドをしております、メロと申します。
…えぇ、助けが遅かったので少し痛みますが、おかげさまで少し赤くなる程度で済みました…ぜひ何かお礼をしたいのですが。」
無表情で淡々と話すメロ
蘭は頬をかいてマルコへ視線を向ける
どうする?_
「ここは白ひげ傘下の島だ…礼なんかいらねぇよい」
「ま、でも礼をしてくれるって言うんなら・・・茶でもおごってもらおうかな」
「かしこまりました、少々お待ちを…」
クザンの下へまた戻りメロは小首をかしげて見せる
大体これで言う事はきいてくれる…
「はいはい…ついて行けばいいんでしょ…そちらさん、うちのメイドが世話になったな、今は休暇中だ、礼はしっかりさせてもらう・・・・」
メロの頭に片手を乗せて青雉が面倒そうな表情で頭をかきながらこちらに目を向ける
どうやらあのメイドはクザンの弱点のようだ
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