再会

□偽りの過去
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「はぁーー!?赤髪について行った!?」


フザケンナ馬鹿野郎!俺達の目の保養でありクソ可愛い溺愛する妹が赤髪について行っただと!?


サッチを筆頭にして兄弟たちはこぞってエースに攻めよった

宴の翌日だと言うのに元気な奴らだ...

エースは片手で髪をガシガシと苛立ったように掻くと、あ〜...と眉間に縦しわを寄せた


「うっせぇな...仕方ねぇだろ...アイツが決めたんだし...」

「バッカ野郎!じゃぁ何か!?メルが赤髪と結婚しますつったらお前ハイどーぞ喜んで≠チて言うのか!?クズだな!!」

「俺だって好きで見送ったんじゃねぇよ!!!!」

「じゃぁなんで引き留めなかったんだよ!?」

「だからそれは...」


それは...と言葉を詰まらせてググッと口を閉じるエース、サッチは舌打ちをうってまだ何か言おうとしている

「んじゃぁ責任持って、おめぇさん、メルの飴玉を赤髪ん所に持って行けよ」

まぁまぁ_とサッチの肩を叩いて、イゾウがメルの飴の入った大瓶をエースに差し出した


「お、俺は行けねぇよ;!!!」

「いーや、おめぇさんの...二番隊の事だろうが...」

無理矢理大瓶を押し付けられて、睨まれる

「いいか!?絶対に連れ戻して来いよ!?じゃねぇとお前の飯は二度と作らねぇからな!」


サッチが吐き捨てるようにそう言うと、兄弟達は俺を睨みつけて去って行く

その中でイゾウはいつもの笑みを浮かべて言うのだ


「あの無表情の妹がいないと淋しいねぇ」

_______________________


大瓶を脇に抱え、真っ青な海に白波を残しストライカーを走らせる

昨晩の事を思い返すとメルに合わせる顔などないのだが、イゾウの話す通り、彼女は家族であり二番隊の隊員なのだと思うと、自分以外には、飴玉を届けるのも、戻ってこい_と言うのも他に任せるわけにはいかない...


雲一つない青空を睨み付けてみたがスグにため息を吐き、海へ視線を落とした


その時、背後から荒い波がきてストライカーが大きく揺れた
振り返ると数十メートル先にレッドフォース号が見えた


一瞬にして緊張感が襲ってくる、こんなにも広い海の上だというのにまるで四方から圧し縮まってくるような息苦しさ...

そうしているうちにレッドフォース号が真近くまでやってきた

甲板のほうを見上げるとシャンクスや幹部達がこちらを見下ろしている、エースは覚悟を決めたように口をグッ_と閉じて一礼した

「何やってんだこんなところで」

テメェなんぞ呼んでいねぇ_というような厳しい口調が降ってきて、顔を上げるとシャンクスが立腹した様子でこちらをギロリと睨みつける

怯みそうになるがエースも負けじと睨み返した

「アイツに忘れ物を...いや...メルを迎えに来た!」

メルを泣かせたのも、追い詰めたのも俺だ...でも...こんな終わり方、ぜってぇ認めねぇ...________


怒りのような、信念のようなモノを感じさせるエースの姿に、シャンクスは嫉妬を鮮明に心の中で感じた...

俺は、メルを泣かせることさえできないのに...




「...チッ......メルなら今しがた、白鬚の所に置いてきたところだ」


ざまぁ見やがれ_そう思うと同時に、エースが不在でよかったと心底思った

メルが昨夜泣かされた男のもとに戻ると思うだけでも胸が押しつぶされそうなほど痛むのに、その再会のシーンを見せつけられてしまえば暫くは立ち直れなかっただろう

苛立ちが広がるがシャンクスは精一杯のしたり顔を浮かべて見せた


は?_


唖然、とこちらを見上げて開いた口が閉じない様子のエース

レッドフォースはその間も動きを止めずに進む、あと少しで海に浮いたままのストライカーを追い越す、というところでエースの口がグッ_と閉じた


「っ...」


シャンクスに慰められて、メルは帰還を考えたのかと思うと嫉妬よりも怒りよりも虚しさが襲う


引き留めることさえできなかった俺は、アイツに負けっぱなしだ...

「俺の妹が...世話になりました!!!!」

腹が立つ...だが...


そうか...メルはもう、モビーにいるのか...


早く戻って謝らなければ_

飴も...渡してやらないとな_______




持ち上がったエースの表情には嬉しそうな笑みが浮かんでいて、そのままストライカーを走らせ去ってゆく


その背中を見送る余裕もなく、背中を向けて大きく息を吐いてその場にへたりと座り込んで
ふ_とヤソップと目が合った


「誰かさんが追いかけっこなんかしなかったらこんな事にゃならなかったんだけどなぁ〜...誰とは言わねぇけど」

刺々しい言葉を吐きながら視線を反らされる
数名の幹部には目撃されていたようで、シャンクスは視線をまた床に落とし持ち上げることができない


後悔_その感情がモヤモヤと離れようとしない


確かにこの腕に、彼女を抱きしめたはずなのに_

俺なら彼女を幸せにできると思っていたのに_


最低野郎だ...


「お頭ぁ、メルが桃のジュースが飲みてぇって言ってたぞ?」

「は?」

「は?どーする?買いに行く?」


拍子抜けしたような表情の顔を持ち上げ、骨付き肉を頬張るルウを瞳に映す
ルウは不思議そうな表情を浮かべ俺の返事を待っている...


ジワジワと胸に広がる暖かな光のようなモノが霧を晴れさせてゆく


メル...また...会いに行ってもいいのか...?


「どーすんだ?」

「っ買いに行くぞ!あったりめぇだろうが!」


嬉しさがこぼれて笑みが浮かんで立ち上がるとルウがヘイヘイ_と返事をする

俺は止まない笑みを浮かべながら視線を他へ移すとベンと目が合った

ハハッ_とはにかむがベンはいつもの仏頂面


「...」

「ス...スマン;」

ベンの眼光に負けしょんぼりと眉を下げるがそれは数秒ももたずに、また笑みを浮かべ船員に指示を出すシャンクス____________
















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