再会
□それは偽物
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さっきから誰かに後をつけられている気がする、こっちはメルが船に戻ってるっつうから急いでるってのに...
案の定、海底に火拳を打ち込むと中型の潜水艦が浮上してきた
「めんどくせぇ...」
だが、こちらが攻撃したからには向こうも黙ってはいないだろう
ストライカーの速度を落とし、エースは潜水艦の出入り口を見つめどんな奴が出てくるのかと神経を集中させた
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廊下をエースさんの後に続いて歩く...
先ほどから景色がぼんやりと二重に見えたり、元に戻ったり...
なんだか体調が優れないようだ...
後でエースさんに言わないと...
はっきりともしない思考、それを無理やり起こすように考え事を幾つも頭に思い浮かべるが難しいこととなると浮かんでは消えていく...
きっと疲れているんだ...
最後にはそう考えて、また振出しに戻る
「大丈夫か?」
「...すこし、気分が悪いです...大丈夫...外の風に当たれば良くなります...」
「...そうか」
彼女は朦朧とする意識の中、先ほどの船の揺れの事さえも忘れてしまっているのだろう
俺の事はまだ、エースに見えるようだが...
彼女を外の本物に会わせるべきか...悩んだがそうする他ないだろう
デッキへと続くドアを開けると外の眩しい光が差し込み潮風が頬を撫でた
「最初に言っておくが、戦う気はねぇ」
ローはそう言って海上のエースを見下ろした、身構えるエースも、ローの後に出てきたメルを見て力を抜いた
「メル...お前、帰ったんじゃなかったのか?」
何故ここに居るんだ?_エースの瞳が彼女をそう言いたげに見つめる
彼女には奴がどう見えてるのだろうか...
「...どなたですか?」
「は!?おっ俺はエースだ!」
「...エースさんはアナタのようなアホ面ではありません、それに、エースさんはここに居ます」
「...確かにアホ面だな」
メルの言葉に唖然とするエースに、ローは笑うでもなく彼女に賛同する
「...メルに何しやがった...」
「...メル、すまねぇが部屋に戻ってくれるか、あのアホ面は俺の顔見知りだ」
メルの肩に片手を置きローが諭すようにそう言うと少し不安げに眉尻を下げ、ローの手をギュッと両手で握り返す彼女
「...そうでしたか、早くエースさんも戻ってくださいね?」
なんだあの可愛いのは...なんであの男に俺の名前を?
あんなこと、されたことも、見たこともねぇ
船内に戻ってゆくメルの後姿を見つめるが、視界を遮る様にして男が俺を見下ろした
「俺の名はトラファルガー・ロー...状況を説明したいこっちに来てくれ」
「俺も今聞きたいと思ってたところだ」